第二十一話 中級ダンジョン ボス戦 1

 五階層い着くとすぐに初級ダンジョンのボス部屋と同じ大きな扉があった。


 軽く触れても文字は表示されない。


「グレイさん、扉に触れても何も表示されないのですが?」


「そのことか、あの文字が表示されるのはそのダンジョンの最上階のボス部屋だけらしいだ。理由は分からんがな」


「そうなんですか、では行きますね」


「おう、もし危なくなったら助けに入るからな」


「はいそのときはお願いします。無いとは思いますが」


「だろうな」


 お互い笑いながら言っていた。


 中に入ると先程まで開いていた扉がいきなり閉まる。それと同時に中が明るくなった。


 部屋の奥には初級ダンジョンと同じゴブリンキングいる。ただし持っている武器は棍棒ではなく斧になっている。


 左腕には盾を持っていて明らかに強くなっているの目に見えて分かる。


 一応確認のため検索を使う。


  ゴブリンキング


  耐性:なし


 やはり耐性持ちではなかった。


「それでは討伐してきます」


 敬礼のようなポーズをしながらグレイさんに言う。


「おお、行ってこい」


 その言葉とともに腰の刀を抜き構える。四階層で手に入れた刀はまだアイテムポーチの中に入れている。


 さて、どうしよう? 前回のボス戦のときは火と風の魔法以外に雷魔法を使って倒したんだけど。


 どうやって倒そうかと頭を悩ませている。グレイさんにはミレイの持ち魔法がばれている。そのため雷・土・水・自然の魔法を使うことが出来ない。


「ミレイ様来ます!」


 どうやってゴブリンキングを倒そうかと考えている隙を突かれる。


 ――ありがとうフレイ。


 右に動き攻撃をかわす。


 体全体に筋力強化を使う。靴には速度アップを付与して、刀に切れ味アップと強度アップを付与。


 これで雷魔法を使えない分はカバーできるかな? 気づかれてないといいけど。


 地面を思いっきり蹴りゴブリンキングとの距離を一瞬で詰めて切りかかる。


 だがその攻撃は左手の盾ではじかれる。ゴブリンキングのパワーに押されて後ろに吹飛ばされてしまう。


「フライ」


 空中で体勢を立て直すが目の前にゴブリンキングが迫ってきていた。


 背後には壁。


 左にかわそうと動くがそこめがけて斧が飛んで来る。


 急停止して右側からかわそうとするが左を斧で防がれたと同時に右も盾で逃げ場を防がれている。


 完全に追い込まれた。


 ――ミスった~! どうにかしないとこのままじゃやられるよ~。


「落ち着いて下さいミレイ様。これはチャンスでもあります」


 ――チャンス? どういうことフレイ?


「目の前を見て下さい」


 フレイの言う通り見てみるが前にはゴブリンキングしかいない。


 ――何もないよ。


「いえあります。無防備になっているゴブリンキングの体が」


 ゴブリンキングは両腕を逃げ場を防ぐために使っている。


 ――確かに、でもゴブリンキングはどうやって私を倒すつもりだったんだろう?


「分かりません」


 でもこれはチャンス。刀でゴブリンキングのお腹に一撃を与える。


 ゴブリンキングはお腹を抑えながら後ろに下がって行く。


 だが、攻撃自体は浅かった。そのため見た目よりもダメージが少ない。


 痛みでこちらへの意識が途切れている隙を突き背後に回り込み刀を一振りするがギリギリの所で気づかれてかわされた。


 ――でかい図体の割に動きが早いな~。もう本当にめんどくさい。


 ゴブリンキングから一度距離を取り状況を確認する。


 ゴブリンキングは少しダメージを受けているようだが動き事態は鈍っていない。


 私も今の所はノーダメージ。


 ピンチになればグレイさんが入ってきて試験終了で昇格は見送り。


「一撃で倒すのやめようかな?」


 ミレイは今回のボスモンスターを一発の攻撃で倒せないかなと考えていた。そのため急所のみを狙いに言っていたのだがリミッターを解除しない状態だとさすがに無理だったのだ。


 ――皆リミッター解除よろしく。


「やっとかよ」


「待っておりましたで~」


「任せとけ」


 皆から返事が返ってくる。


 そしてリミッターが解除される。


「ミレ~イ、大丈夫か! ピンチなら助けに入るぞ!」


 ミレイの戦闘を見ていて心配で聞いてくるグレイさん。


「その必要はありません。これから倒しますので」


 アイテムポーチから雷の刀『雷刀』を取り出し構える。


「第二戦め開始しましょうか」


 そんな事を呟き攻撃を仕掛けていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る