第十五話 怪しき人
ギルドから宿への帰り道。
「ミレイ様、少し怪しい気配の人がおりますのでご注意ください」
フレイからの忠告に、
――どんな人なの?
「顔を黒いフードで隠した者にございます」
フレイの言うとおり目の前からフレイ言うとおりの人が歩いてきた。周りが薄暗くよく見えなかったが精霊らしきものを連れているようにも見えた。
「今は私どもと目を合わせないでください。それと会話もお控えください」
「分かった」
いつにもなく真剣なフレイ。
フードを被った人物が横を通り過ぎていった。そのときフードの陰から笑っているのが見えた気がするが気のせいだろうと思う。
――一体何だったのかな?
「分かりませんが、なんだか危険な気配がしました」
「俺も嫌な感じがしたぜ」
他の精霊達も嫌な感じがすると言っている。
――私、さっきの人の周りに精霊が飛んでいるのを見たんだけど気のせいかな?
「分かりまん。私達意外に精霊がいるはずはないのですが」
考え込むフレイ。
――話は、宿に戻ってからしよ
「そうですね」
早足で宿に戻っていく。
夕食を食べて部屋へと戻ると、ベッドへとダイブ。
「やっぱりこの布団最高で~す~」
すぐに寝てしまおうとしているミレイに、
「ミレイ様、何をしているのですか」
少し怖い顔で言ってくる。
「ミレイ様は女の子なのです。はしたないことはお控えください」
「は~い。それよりもだよ。あのフードの人は何だったんだろう?」
「あれから少し考えてみたのですが、ミレイ様と同じ伝説の勇者様に関わりのある者なのでは無いでしょうか?」
確かにその可能性もある。
「でも俺達以外に精霊がいるなんて知らないぜ」
「私も、記憶に唯一残っているのは皆のことだけだし」
皆分からないでいる。
「でも確かに肩の所に精霊が飛んでいるのを見たんだけどな~」
腕を組み考えるミレイ。
「分からない」
「そうですね。私どもにもさっぱりでございます」
これはお手上げだなと思い話しを変える。
「それよりも今日は楽しかったよね」
「いきなりどうされたのですか?」
「だって初めての冒険だよ。無茶苦茶楽しかったよ」
「私ははらはらでした」
ため息交じりにフレイが言う。
「フレイはん。今回言ったのは初級ダンジョンですえ。何もありゃしませんよ」
「そうだよ。ナチュラの言う通りだよ」
「そうですね。これからはもう少しミレイ様を信用しないといけないですね」
あれ? 私ってそこまで信用無かったのかな?
少し落ち込むミレイ。
「明日も早いし寝ようぜ」
「そうだね。皆も疲れてるよね」
「は~い」
布団を被り眠りにつくのだった。
一方その頃、
「ふふふ、今日は面白い少女に合ったわ」
一人の女性がミレイ達の止まっている部屋を見ながら話している。
「確かにそうですね。私達と同じ精霊を連れていましたね」
「ああ、それも七体もだぜ。もしかしたらお前が探している相手かも知れないぜ」
「そうかも知れないけどまだあの子の実力が分からないからそうとも限らないわよ」
二体の精霊が女性の肩に乗っている。一体は黒い衣に身を包み羽も黒色の男の精霊。もう一体は全身を白色に身を包んでいる女の精霊。
「それにまだこちらの準備も整ってないしね」
「それじゃ少しあの子を試してみたどうかしら?」
「そうね。それなら少しは暇つぶしにもなるし、あの子の実力を見るにも丁度いいわね」
「何をするんだ?」
「簡単よ。あの子が戻ってきたら他の街でもやったように新しいダンジョンを作ればいいのよ。ただしとっても難易度の高い物をね」
笑みを浮かべながら言っている女性。
「それは楽しみですね。ですがもしあの少女が目的の人物だったらどうするおつもりですか?」
「さてどうしようかしら。ただ殺すだけではつまらないしね」
「ですね。あの時の屈辱はただ殺すだけでは晴らしきれないですからね」
「ええ、そうです。あの日の事を思い出すと怒りがこみ上げてきます」
「あの時はふかくを取ったが今度はやり合えば俺達が勝てるだろうしな」
などと話していたのだった。
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