第十三話 ボス戦

 トビラが閉まると部屋の中が明かるくなり目の前に大きなモンスターがいる。


 腰には大きな棍棒を下げている。検索魔法で見てみると、


 ゴブリンキング


  耐性:なし


 巨体でなかなかと強そうではないかと思う。


「ミレイ様、お気をつけようあれは」


 フレイがミレイにモンスターのことを伝えようとしたら、


「知ってるよ~! ゴブリンキングでしょう。すごく強そうだよね!」


 目をキラキラさせながら言っているミレイ。


「はい確かに強いです。先ほどまで戦っていたゴブリン達とは別格ですよ。基本的な攻撃は腰に下げている棍棒での攻撃だけですが、もの凄いパワーで振り下ろしてきます。その破壊力はそうとなものです」


「みたらわかるよ~。腕も太いし棍棒もかなり大きいもんね」


 早く戦いたいと体うずうずしてフレイの話が頭に入ってこない。


「はいそこまで分かっておられるのなら何も言いません。ですがくれぐれもお気を付けください」


「了解! 行ってくるね」


 ゴブリンキングに近づいていく。


 ミレイの接近に気づくゴブリンキング。近づけば近づくほど大きく見えるゴブリンキング。


 挨拶代わりにとできるだけ抑えて風の刃ウインドエッジを放つ。


 それをかわさずに右手ではじいた。特に何のダメージを受けていない様子。


「さすがに硬いね」


 次にゴブリンキングで攻撃を仕掛けてくる。腰に下げている棍棒を持ち頭上から振り下ろしてくる。それを右へとかわすと、元居た場所にクレーターが出来ていた。


「凄い威力。予想以上だよ」


 ゴブリンキングの攻撃を見て呑気にそんなことを呟いている。


 もう一度攻撃をしようとこちらに近づいてくる。


 まずその動きを止めようと、


「フリーズ」


 ゴブリンキングの足元を凍らして動きを止める。


 無理矢理に氷を壊そうとする。


 その隙にゴブリンキングに近づくき、腰に下げている刀を抜き左腕に斬りかかる。


 だが、右手に持っていた棍棒で近づかせないようにしようと攻撃してくる。


「フライ」


 風魔法のフライを使い急停止して棍棒をかわす。


 目の前を棍棒が通り過ぎて行く。その後、すぐにゴブリンキングへと近づき左手を切り落とす。


「ぎぁ~」


 左手がなくなったことによりうめき声をあげる。


 うるさいよ~!


 ゴブリンキングの声がかなりうるさく耳を塞ぎぐミレイ。


 そこを目掛けて棍棒を再び振り下ろしてくる。


 うるさい声を我慢して、それをかわし一度地面に足をつける。それと同じタイミングでゴブリンキングのうめき声が止まった。


「やっと止まった」


 ぼそりと呟く。


 足に速度アップを付与して思いっきり踏切ってゴブリンキグの正面へ。私目掛けて攻撃を仕掛けてくる。


 それをひらりと交わして背後を取る。


 振り向こうとしているがそれよりも早くゴブリンキングの首が飛ぶ。


「倒せた!」


 すぐに地面におりとても満足そうな顔のミレイ。


 ゴブリンキングは宝石となり消える。ドロップ品はゴブリンキングの棍棒とガーネット三つと通常のゴブリン達よりも少し多めのドロップであった。それにアイテムまでドロップしている。


「これ何に使ったらいいのかな?」


 先ほどゴブリンキングの持っていたような大きさの物ではなく、人が持てるサイズになっていた。


「分かりませんが、一応持っておけば何かには使えるのではないでしょうか?」


「それもそうだね」


 ドロップ品を異空間収納へと閉まっていく。


 ドロップ品をしまい終わると目の前に、


  ダンジョンを出ますか?

 

    YES/NO


 入るときに見た問いかけと同じようなものが現れた。


 YESを選ぶと目の前が白くなり気が付くとダンジョンの外に出ていた。


「お帰り」


「ただいまです」


「入口から出てこずに戻ってきたてことはボスを倒したのか」


「はい」


 かなり驚いている門番の男達二人。


「凄いじゃね~か嬢ちゃん。冒険者ランクはどのくらいなんだい?」


「昨日冒険者になったばかりなのでまだEランクですね」


 ギルドカードを見せながら言うと、再び驚きを今度は尻もちまでついてしまう二人。


「なぜそんなに驚かれるのですか? 初級ダンジョンを攻略したくらいで?」


「そりゃここはどんなランクの冒険者でも挑戦できる初級ダンジョンだ。だがなここをソロで攻略できるのはCランク以上の冒険者くらいなもんだぜ」


 今度はミレイが驚く。


「でもゴブリン達結構弱かったですよ」


「スゲ~な、ここのゴブリン達を弱いと言うのか。嬢ちゃんいつか大物になるかもな」


 男達は笑いながら言ってきた。


「そんなことないですよ」


 などと言いながら冒険者ギルドへと戻っていく。

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