第十二話 ダンジョン 2
それから二階層、三階層と進み四階層へとやってきた。
階層を上がるごとに出会う冒険者の数は減っていき四階層にくると冒険者は誰もおらずゴブリン達ばかりがいる。
三階層以降もゴブリンの種類は増え今確認できているのは、三種類となっている。武器を持たない普通のゴブリン、剣を持つゴブリン剣士、弓を使うゴブリン弓使いである。ここまでは群れで動くゴブリンはおらず一対一での戦闘になっている。
――もう四層になんて早いね。
実際、初挑戦でここまでこれた冒険者はいない。
「ですが油断は大敵ですよ。他の冒険者方々に言われた通り、何があるかわからないのですから」
「フレイは心配しすぎだぜ。ここまで余裕で来られただろうが」
心配性のフレイにアースが突っ込む。
――そうだよ、フレイ。もう少し私のことを信用してよ。
「ですが……分かりました」
何とかフレイが折れてくれた。
――ありがとう。
笑顔で言う。
そんなことをしていると察知に複数の反応感じた。数は三。
「ライト、憑依」
用心のためライトも憑依させておく。
目の前に現れたのはゴブリン剣士二体に弓使い一体。明らかにこちらに気づいている様子のゴブリン達。剣を構え、戦闘態勢に入っている。
「面白くなってきたね」
ゴブリン達を見て満面の笑みを浮かべているミレイ。
ゴブリン達は二体そろって切りかかってくる。それを迎え撃とうと向かって行く。
それを見ていた弓使いの矢が足元に命中して動きを止められる。凄く連携の取れた攻撃。
その隙にゴブリン達二体が左右に分かれて切りかかってくる。右からの攻撃をかわし左のゴブリンを一刀両断で倒す。
仲間がやられたことで怒り出すゴブリン達。弓使いの矢が先ほどよりも早い速度でこちらに飛んでくる。
それをかわしながら近づいていくと目の前からゴブリン剣士が攻撃を仕掛けてくる。だが剣速はお遅く攻撃がこちらにあたる前に私の攻撃が先にあたりゴブリン剣士は胴体で真っ二つになった。
残すは弓使いのみになったが逃げようとはせずに矢を放ってくる。
それに対して接近戦ではなく、
「遠距離からの攻撃には遠距離からの攻撃だよね」
声を弾ませて言いながら、
「サンダーボール」
雷魔法を放ち倒す。
「討伐完了!」
すごく楽しそうなミレイ。
ドロップアイテムを拾いアイテムポーチにしまう。
――楽しかったな。今までのゴブリン達とは違い連携の取れた攻撃。もっともっとこういう戦いがしたな。
口に出さずに心の中で言っているミレイ。口に出してしまうとまたフレイが小言を聞くことになりそうだと思ったからである。
だが、
「ミレイ様。楽しいとは何ですか。もう少し危機感を持ってください。これがもし上級ダンジョンだったら笑いごとでは済まないのですよ」
――私口に出してなかったのに何で聞こえてるの?
「心の中の声も昔ほど筒抜けになっておりませんが、たまに聞こえてまいります。私達に話しかけるときそれ以外の時のコントロールはもう少し意識してくださいませ」
――はい。
がくりと落ち込みながら返事をするミレイ。
それから三十分間フレイからお説教タイムとなった。
「これからはもう少し気を引き締めてくださいね」
――は~い。
だるそうに返事をする。お説教タイムの間ずっと正座をさせられていて足がしびれていた。立とうとしてもうまく立てない。
「ミレイはん、大丈夫です?」
――うんありがとう。大丈夫だよ。
心配してくれるナチュラ。
それから何とか立ち上がり先に進んでいく。
それからもゴブリン達との戦闘は何回かあり、すべて複数体で動いているゴブリン達ばかりだった。それに新たにゴブリン魔導士まで現れた。一撃で倒し損ねたゴブリンを完全回復させられたり、魔法での攻撃を仕掛けてきたりとすこし面倒だった。それでも苦戦することはなく難なく倒して先に進み最上階への階段を見つけた。
――いよいよ、最上階だね。
「はい、ここを登れば後はボス戦を残すのみです」
「さっさと倒して攻略しちゃおうぜ」
――そうだね。皆行くよ。
「お~!」
階段を上りボス部屋の前までやってきた。目の前に大きなトビラがある。
そのトビラに手をかざすと目の前に文字が現れた。
難じ挑戦し者か
YES/NO
ミレイは迷うことなくYESの方を選んだ。それと同時に目の前にトビラが開いていく。
扉が完全に開き中に入るとさっきまで開いていたトビラが閉まりボス戦開始となる。
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