第九話 冒険者ギルド 2
スライムとの戦闘。
どうしよう? どんな手を使ってもいいと言われたけど相手がスライム、最弱のモンスターなんだよね。一撃で倒せちゃうよ。
スライムは体の中心である格を潰すことで倒すことが出来る。中が見えないのならまだ苦労もする相手なのだが表面が透けていて格の場所もはっきりと見えている。
試験の内容が簡単すぎて少しびっくり。
そんなことを考えているとスライムが攻撃を仕掛けようと近づいてくる。だがとてもゆっくりで少し可愛く見える。
「なんだか倒すのもったいないな」
思わずそんなことを呟いてしまった。
「ミレイ様、何をいわれているのですか、相手はモンスターです。スライムとは言えモンスターなのです。そしてこれは試験なのです。なのでサックと倒しちゃってください」
――そうだよね。
腰に下げている刀を抜き構える。
スライムは真正面から体当たりをしようと向かってくる。それに合わせて刀を横一線に振り抜く。
きれいにスライムの体は上下に二つに分かれて消滅する。
ごめんね。
心の中で一言スライムに謝っていた。
「お見事。こんなあっさりとスライムを倒すなんてビックリしたぞ。大体のやつは倒し方が分からずにあたふたするんだがな」
「スライムの倒し方は昔パパに聞いたことがあっただけで、他のモンスターだったら苦戦してたとおもいますよ」
一撃で倒しちゃったのは少しまずかったかな?
でもしょうがないよね。だって相手がスライムなんだもん。可愛かったけど。
内心でそんなことを思っているミレイ。
「そうだったのか。だが今の剣筋只者ではないな。今後の活躍が楽しみだ」
試験管は手を出してきた。
「ご期待に添えるよう頑張ります」
試験管の差し出してきた手握り握手を交わす。
「合格おめでとう」
それと同時に試験の結果が告げられた。
「ありがとうございます」
「上には俺から試験の結果を伝えておくからギルドカードを受け取ってくれ」
「はい、分かりました」
試験管に頭を下げてから上へと戻り椅子に座って呼ばれるのを待っていると、
「ミレイ=サルシャさん受付までお願いいたします」
名前が呼ばれたので受付に行くと、
「試験の合格おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「こちらがミレイ様のギルドカードになります」
お姉さんから一枚のカードを受け取る。そこには冒険者ランクと私の名前が書いてあった。
「ギルドカードは身分証明にもなりますのでなくさないようにしてください」
「分かりました」
「それではこれから冒険者について説明いたします」
それから冒険者についての説明が行われた。
まず冒険者の受ける依頼に三種類ある。
一つ目が、常設依頼と呼ばれるもので薬草やモンスタードロップの宝石を常時募集している依頼である。
二つ目は討伐依頼。名前の通り町の近くに現れたモンスターを討伐や盗賊達を討伐する依頼である。
三つ目は護衛依頼。貴族の馬車や商人の荷馬車をモンスターや盗賊から守る依頼である。
それとは別に冒険者には町の周りにあるダンジョンへの挑戦が許されている。ダンジョンは初級、中級、上級の三つのランクに分かれている。
初級は五階層になっていてどのランクの冒険者でも挑戦できる。
中級は、二十五階層あり五階層ごとにボス部屋がある。
上級は、五十階層あり中級同様に五階層ごとにボス部屋がある。
ダンジョンからの脱出方法は基本的に二つしかない、一つは入ってきた入り口からである。もう一つはダンジョン最上階のボス部屋に到着するか倒すことの二つしかない。
そしてこれらのダンジョンに挑戦したいときは冒険者ギルドで承認をもらう必要がある。
冒険者は、皆最初Eランクからスタートする。Dランクに上がろうと思うと依頼を十個成功させることで上がることが出来る。それ以降も特定の数依頼をこなしていくことで昇格できる。ただし上のランクに上がれば上がるほど成功しないといけない依頼の数は多くなっていく。
ただしEランクから次のランクに上がる場合のみ方法がもう一つある。それは初級ダンジョンを一人で攻略することでCランクへの昇格が可能になる。
一番重要なのが先ほどもらったギルドカード。このギルドカードは魔道具になっていて、その日討伐したモンスターの種類や数、攻略したダンジョンを記録してくれるのである。冒険者ギルドはこれを見て討伐依頼の成功か失敗の判断や、ダンジョン攻略の確認などを行っているのである。
「ここまでが冒険者についての説明になりますが何か質問はありますか?」
「いえ、大丈夫です」
「かしこまりました。ではこちらをどうぞ」
お姉さんから冒険者の指南書を受け取った。中を見てみると先ほどお姉さんから受けた説明が書いてありそれ以外にもこの街の近くにあるダンジョンの情報も載っていた。
「ありがとうございます。後すみません。明日、初級ダンジョンに挑戦したいのですが許可書の発行をお願いしてもいいですか?」
かなり驚かれたが、
「少々お待ちください」
お姉さんはすぐに許可書を発行してくれた。
「くれぐれも無茶だけはしないように。危ないと思ったら近くの冒険者を頼るのですよ」
許可証を受け取るときに言われた。
「分かりました。ありがとうございます」
受付のお姉さんに一礼してギルドを後にするのだった。
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