第八話 冒険者ギルド
教会を出てからしばらくして冒険者ギルドに着いた。
ごくり!
ギルドの扉を開ける。
すると、
「こっちに酒をくれ!」
「こっちが先だぞ!」
「早くしろよ!」
中はとても賑わっていた。
仕事から帰ってきた冒険者の人達が食事をしたり、受付で依頼の報酬を受け取ったりしている。
「凄いねミレイ様。すごく賑やかだよ」
目をキラキラさせながら言ってくるアクア。
――そうだね。すごくワクワクするね。
もうわくわくが止まらない。
――私も早く冒険者登録を済ましてあの中に混じりたいよ。依頼を受けたいよ。ウキウキが止まらないよ。
心の中でそんなことを考えていた。
フレイはそんな私を見てため息をついていたが何も言わなかった。
――受付に並んだらいいのかな?
フレイに聞いてみると、
「は、はい! それでいいと思います」
突然質問にビックリしていた。
――ありがとう。
一番列が短そうな所に並び自分の順番が来るを待つ。
「次の方どうぞ」
私の番がやってきた。
「あら~可愛いお嬢さんね。今日はどうしたのかな?」
当然の反応である。
「すみません。冒険者登録をしたいのですがいいですか?」
「大丈夫ですよ。ではこちらの紙に名前と年齢を書いてもらえるかな。もし書けないならこちらで代筆もするわよ」
「大丈夫です」
お姉さんに言われた通りに紙に名前と年齢を書いていく。
「はい、承りました。すぐに試験を行うから椅子に座って待っててね」
椅子に座って待つこと数分、
「ミレイ=サルシャはいるか」
ごつい体の男が私の名前を呼んでいる。
「はい、私です」
椅子から降りて男の元へと向かうと、
「私は今回君の冒険者登録試験の試験管をするライだ」
「ミレイ=サルシャです。よろしくお願いします」
お互いに挨拶を交わす。
「試験場に案内するからついてきてくれ」
男は試験場へと向かっていく。私もその後ろに続いて歩いていくとギルドの地下へと降りて行った。
地下はとても広く模擬戦などができる舞台まである。
私達以外に誰もおらずとても静かな空間であった。
「まず初めにステータスの確認を行う」
「どうしてステータスの確認を?」
頭を捻りながら聞き返した。
「それはな、冒険者って言うのはとても危険な仕事なんだ。そんなところにもしもステータスの低い者がいたらどうなると思う?」
「それは……死の危険性がとても高いってことですか?」
「その通りだ。だからこそ、我々冒険者ギルドは最低基準としてステータスがDランク以下の者は冒険者登録できなと言うルールを設けているんだ。だがそれを知らないで来る者もいるため最初にステータス確認を行っているんだ」
「そうだったのですね」
――まずい。
その一言が頭の中に浮かんだ。
私のステータスは全てSS。もしもそんな事が知られたら大騒ぎになるかも知れない。
そのため、
「ナッシー憑依」
小声で呟く。
「偽装」
この魔法は、自信のステータスを書き換えることが出来る魔法である。ただし、能力そのものが変わるわけではなく他の人に見られた時や今回みたいに自身能力を確認されるときに偽のステータスを相手に見せることが出来る魔法である。
私は、自分のステータスを、
力:C
防御:C
魔力:C
運:C
火魔法 風魔法 回復魔法
精霊の儀を受ける前に理想としていたステータスに書き換える。
試験管は一つの水晶を持ってきた。
「それは何ですか?」
精霊の儀で使ったもの似ているが色が少し違う。
「これはステータス確認水晶だ。精霊の儀を受けたなら見覚えがあるだろう」
「はい、ありますが色が少し違うようなのですが」
「そうだろうな。精霊の儀で使う物には本人だけがステータスを確認できるようにするための仕組みが組み込まれているが、この水晶にその仕組みは組み込まれていないんだ。だから少し色が違うんだと思うぜ」
「そうなんですね。水晶に触れたらいいのですか?」
「そうだ」
私が水晶に触れると目の前にステータスが浮かび上がった。
力:C
防御:C
魔力:C
運:C
火魔法 風魔法 回復魔法
「問題ないようだな」
私のステータスを確認して頷く試験管。
「手を放してもいいですか?」
いつまで水晶に手を触れていればいいのかわからないので聞いてみる。
「もう放して大丈夫だぜ」
水晶から手を離すと、目の前に浮かんでいたステータスも消えた。
この試験で一番の問題であったステータス確認は無事に乗り切ることが出来た。この後にどんな試験が来ても心配することはないだろうと考えていた。
「それじゃ、次の試験に移る。こっちに来てくれ」
試験管について行くと模擬戦などをするであろう舞台へと案内された。
もしかしたら試験管の人と戦うのではと思っていたら、
「嬢ちゃんにはこいつと戦ってもらうぜ」
見せられたのは檻の中に入っているスライムであった。
「スライムとですか?」
「そうだ。この試験では嬢ちゃんがモンスターと戦えるかどうかを見せてもらう。魔法も使ってもらっていい。今嬢ちゃんの使えるあらゆる手を使ってスライムを倒してくれ」
「分かりました」
その言葉を聞くと試験管は檻を開けてスライムを舞台の上に出す。
そして、スライムとの戦闘が開始された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます