第五話 旅立ち
精霊の儀より五年経ちミレイの十歳の誕生日を迎えていた。
食卓のテーブルの上には大きなケーキにお祝いの料理が並んでいる。
「十歳のお誕生日おめでとうミレイ」
「おめでとうミレイ」
母アレンと父レイクからお祝いの言葉をもらう。
「ありがとう、パパ、ママ」
笑顔で言う。
するとアレンとレイクから二つのプレゼントをもらった。一つはダンジョン内でのみ手に入るアイテムポーチ。もう一つは実践で使える刀である。
「二つももらっていいの?」
両方ともが高価なアイテムで本当にもらっていいのかと思ってしまうミレイ。
「いいのよ。今日はミレイの誕生日なんだからで明日はあなたの旅立ちの日。これくらいはさせて」
アレンは涙を流しながら言った。
「そうだぞ」
いつの間にかレイクまで泣いている。そんな二人を見ていたミレイまでもいつの間にか泣いていた。
そんなこんなでミレイの誕生日会兼お別れ会は終了した。
その夜、ミレイはベットの上で一晩中泣き続けた。精霊立達はそんなミレイに声を掛けることが出来なかったのだ。
翌朝、泣き疲れたいつの間にか寝てしまっていたミレイの目元は赤く張れていた。
「お……おはよう」
まだうまく声が出ない。
「おはようミレイ」
「おはよう」
アレン、レイクは、ミレイよりも先に起きていた。
ミレイも食卓に着く。
「いつ出るんだ」
最初に口を開いたのはアレンだった。
「朝食を食べたら出発しようと思っているよ」
「そうか」
会話が続かない。
「ケガだけには気を付けなさい。女の子なんだから」
「はい!」
「年に一回くらいは帰ってこいよ」
「うん」
凄くしんみりとした空気の中で朝食を食べていた。
そしていよいよ出発のときを迎える。
家の玄関の前で両親と向かい合っているミレイ。レイクは今にも泣き出しそうな感じであった。
「元気でな」
一言。
「うん、パパもね」
「体には気を付けなさい。それとこれも持って行きなさい」
アレンから少しのお金を受け取った。
「いいの?」
「いいのよ。あなたはそんな事気にしないでいいのよ」
「うん。ありがとうママ、パパも泣かないで笑顔で見送ってよ」
「そうよパパ、娘の旅立ちなんだから」
二人して言うと、
「そうだな。男の俺がめそめそしてたらダメだよな」
涙を拭きながら何とか笑顔を作るレイク。
「頑張れよ」
「うん、それじゃ行くね」
「ああ、行ってこい」
「いってたしゃい」
二人に見送られて家を後にした。
ミレイは家から少し離れた所で一度後ろを振り返る。するとアレンとレイクはまだミレイを見ていた。
――十年間ありがとうパパ、ママ。元気でね。
心ので両親にお礼をいいながら村を出て行く。
ミレイを見送り終えたアレンとレイク。
「言ってしまったわね」
目から涙が出てきたアレン。
「今日は泣かないんじゃなかったのか」
昨晩アレンとレイクは今日は泣かないと決めていた。
「何言ってんのよ。最初に泣いたのはパパでしょう」
「……」
ミレイの前で泣いたことを言われて何も言えないレイク。
「とりあえず家に入ろうママ」
「ええ」
二人は家の中に入る。
家の中でお茶を飲みながら、
「本当にあの子一人で行かせてもよかったのかしら。やっぱり私達が付いていくべきじゃなかったのかしら」
今になってミレイ一人で行かせたことを後悔しているアレン。
「俺も同じ事を考えた。だがな、親として自分達の娘を信じてやろうじゃないか」
アレンの目はとても冷たい物だった。
「そうね。私達があの子を信じてあげないとといけないわね」
少しため息交じりで言うのだった。
村少し離れた当たりで、
「この辺でいいかな」
目からこぼれる涙を拭き取りながら私は周りに人気の無いことを確認すると、
「皆、お願い」
精霊達にリミッターを外してもらうようにお願いする。
私の能力値は全てSSランク。その状態のままだと力が強すぎたりするため精霊達に頼んで能力値をCランクまで下げてもらっている。
「了解!」
精霊達は声をそろえて返事をする。
「これで完了よ」
水の精霊アクアからリミッターの解除が告げられる。
私は自分のステータスを確認してSSランクに戻っているかを確認する。
「大丈夫みたね。それじゃライト、ナッシー憑依」
雷の精霊ライトと無の精霊ナッシーを融合させる。
その後、雷魔法の雷速。雷の魔力を足に纏わし自身のスピードを上げる魔法と靴に速度アップを付与して、最初に街アーミスに向けて全力でダッシュするのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます