第4話
いじめは日に日に、目に見えて酷くなっていった。
家ではぶたれ、学校ではいじめられ、蹴られても生きてこれた。
それは一重に母さんと토이두教会のおかげだった。
でも僕はその2つを同時に失った
梅雨も明けないジメジメとした、夏の足音が聞こえてくるような日。
母さんが死んだ。
母さんは信仰の要だった。
教会に行っているとあの幸せだった頃を思い出せた。
「おら!何泣いてんだてめえ!
あんな男に色目使うような!」ドカッ
伯父は僕の涙を拭っていた腕を蹴る
「女が死んで!」ドカッ
「残念だったなあ!!!」ボカッ
「泣いたらとっとと外出て畑耕さんか!」
「この穀潰しが!!!」
僕の中で何かが切れる
ことも無かった
情けなかった
不甲斐なかった
遣る瀬無かった
自分が嫌いになった
抵抗も、言い返すこともできない自分にどうしようもない嫌悪感と、遺産を食い散らかされた父の弱者の血を感じた。
次の日は休んで、その次の日学校に行った。
このところ学校に向かう足が重い。
でも今日は、今日は違う
友達ができたから
大堀という友達が出来た。
感無量とさえ言える。
大堀とは委員会で知り合った。
やりたくなかった福祉委員だけどその時だけはやってよかったと心から思う。
大堀はどちらかと言うと明るいけど、どこか闇を抱えているようなところに惹かれるものがあった。
「大堀くん、委員会の、その、役割一緒にしない?」
「うん、いいよ、あと俺のことは大堀で呼び捨てにしていいよ笑」
本当に嬉しかった。
大堀くんは小六まで施設で育って、それから里子として引き取られたらしい。
「なんだか似てるね
僕は小三の時に父さんが死んでここの伯父さんの家に来たんだ」
「へー、そうだったのか
優しそうなおっさんだったな!」
「…うん、えーっと、大堀のお父さんはどんな人?」
「ん?俺の父さんか?父さんはあんまり喋らないけど優しいんだ。
そんでもって母さんはすごくお喋りなのが玉に瑕だけどすっげえ料理が上手いんだぜ!」
「へー、いいね」
今日は大堀の家に行く。
とても楽しみだ。
大堀の幼馴染も呼んでくれるらしい。
仲良くなれるといいけど
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