戦うことが嫌になり自由に生きたいのですが日々戦闘を繰り返しています

第15話 笑うしかない

ローナ視点

相変わらず師匠は化物です

ギルドマスターの猛攻が当然のようにかわす姿を見てつくづく思います

そしてもうお気づきかと思いますが、私が二度放った蹴りは師匠のを参考にした物です

単にカッコいいからという理由で真似したのですが、自分でも驚くぐらいの完成度だと思いました

師匠が登録のために教官と手合わせをしたのですが、結果は師匠の圧勝です

あっやっぱりと思いました

実は扉の隙間からコッソリと見てい単ですが、教官に放った師匠の一撃、流石の一言です

技のキレ、完成度が私とは段違いでした

まだまだ修行不足ですね

そしてギルドでは教官が師匠に負けた事実に困惑しています

私も師匠と出会わなかったら皆さんと同じ反応をしていたでしょう

元A級の教官が負けるなんて本来ならあってはならないのですが、今回は相手が悪かったと言うしかないです

しかしそれでもギルドにとっては一大事です

どうするのかと思っていたらギルドマスターが出てきました

驚きました

ギルドマスターが試験を行うなんて私の知る限り初めてのことです

ギルドマスターやる気満々です

でもギルドの職員が止めようとしていました

そうでしょうね、ギルドマスターがこんな登録の試験だけのために出てくるなんておかしいですよね

この状況、私は傍観すべきでしょうか、それとも止めた方がいいのでしょうか

1番の正解は何もしない事です

師匠の強さはある程度知っていますし、何より師匠と［龍殺し］のギルドマスターとの戦いに巻き込まれたくはありません

止めたい方は頑張ってください

私は応援していますよ

そんなこんなで自然と始まりました

ギルドマスターの猛攻を華麗に避ける師匠

流石の一言ですが、それよりも師匠とギルドマスターが話していた事が気になります

召喚、若しくは転生者かと

なぜそんな事を聞くのでしょう

この世界では強い人はみんなそうだと言いたいんでしょうか

何ですかねその理屈は

それならあの［勇者］も異世界から召喚されたか、転生してきたって事なんですかね

わかりません

その後の話は私には理解ができませんでした

後で師匠に聞いてもわからないでしょう

それよりもこの戦いの結末の方が気になります

結果は決まってますけどね

始まりました

やっぱりと言うべきか、ギルドマスターが先に仕掛けましたね

師匠が先に動くわけありません

思えば師匠が先に仕掛ける事なんて逆にあるのでしょうか

格上の相手とかなら動きますかね？

そもそも師匠の格上っているんですかね？

おっとそうこうしているうちにギルドマスターが凄い仕掛けていますね

それを難なく躱す師匠

本当にどうなっているんですかね…

何で相手が動き出す前に、こう動くってわかっているように動きます

意味がわかりません

ん？何か言ってますね

ただの予測？誰でもできる？

ナニヲイッテイルノアノヒト？

イミガワカラナイ…

そこからはもうギルドマスターを子供扱いしています

相当な数の魔法で強化しているにも関わらずです

何なんですかね？本当に

今は引退しているギルドマスターでも、現役では［竜殺］の異名を持つ名の知れた冒険者

この世界の数あるギルドの冒険者の中で五本の指に入る実力者です

そのギルドマスターの猛攻が摩りもせず、師匠のスピードに全くついていけていないこの事実を誰が予想できるでしょうか

私は師匠が勝つだろうなとは思っていましたが、ここまで一方的になるとは正直に言うと思っていませんでした

ガイズさんが苦笑いしているのも納得です

あっ…《錬成》を使いましたね

何であんな簡単に剣が作れるのでしょうか

…もう笑うしかないですね

すると二人が動きを止めました

どうやら次で決まるようです

ギルドマスターがバトルアクスを構え直し、魔力を一気に溜めていきます

勝負を決めようとするギルドマスターに師匠は何もしません

正面からギルドマスターの攻撃を受けようとしています

しかし師匠の視線はギルドマスターの上を向いているのに気付きました

一体何を見ているのでしょう

……アレは竜（ドラゴン）？

何で…あ

ギルドマスターから流している魔力型バトルアクスに集まり発光し、粒子が空中にに集まり、それが竜（ドラゴン）の形をしていました

ギルドマスターが使っているバトルアクスの主な素材

それはギルドマスターが現役の頃に死闘の末に倒したという［地龍］、その形をしている

幻術？いや、これは［地龍］のバトルアクスから流れる魔力が具現化してるもの

武器から具現化するほどのオーラが出るなんて聞いたこともない

これに師匠は…仮面をつけているからわからないけど、少し口角が上がっているように見えた

……おっと　ちょっと言葉遣いが悪かったですね

気をつけましょう

師匠は…剣に魔力を溜め始め

あっ…消えた

両者が消えると大きな音が響き渡り、元いた位置に二人が入れ替わっていると

ヒュッ…

……何か顔の横を通り過ぎたような

後ろを振り返るとそこにあったのは

…刀身？

………

あっっっっっぶないわぁ！！！！

死ぬかと思ったわ！

ちょっと！師匠！私を殺す気！？

師匠の剣の刀身が私の後ろに刺さっていた

ギルドマスターが倒れたけど今はそれどころじゃない！

なんかゴメンって言われたけど…

絶対に許さない！！