第13話 登録
はい!来ました冒険者ギルド!
ここ来るの二回目です
一回目は俺に絡んできた冒険者をローナが派手に蹴り飛ばしてここから出た
そんな事をした訳で歓迎されるわけもなく、すっごい睨んでくる 誰がとは言わないけど
でも今回は絡まれる心配はなさそう
ローナが睨みを効かせているというより、俺らの前を歩くS級冒険者達のお陰だ
また俺に絡もうとする奴はいるようだけど、それをS級冒険者が阻止している感じになっていた
ありがたい
S級冒険者は受付へ向かい一人が背負っていた袋をカウンターへ置く
「依頼完了、査定よろしく」
「かしこまりました 少々お待ちください」
「あと、S級に推薦したい奴がいる」
「え?」
S級冒険者、ガイズの言葉にバカみたいに騒いでいた冒険者達が静まり返る
そんな驚くような事言ったか?
「推薦…ですか?」
「そうだ それと俺の紹介で登録をさせたい奴もいる」
「どなたかお聞きしても?」
「ローナ・エクシムをS級に
そしてあの仮面の男を紹介する」
一斉にこっちを見てきたー
やめてくれよ 恥ずかしいじゃないか
「それでは仮面のお方、こちらに来ていただいても?」
「なんか呼ばれたよ」
「大丈夫ですよ、登録の手続きだけです」
あっそう
「それでは登録をする前にこちらにお名前とご職業をお書き下さい
その後にこちらの水晶に触れていただきます」
「はいよ…ん?」
「? どうかされましたか?」
「いや…別に」
目の前に出された紙に名前を記入
エル…っと
そしてその後の職業…職業
職業って何だ?
勇者とか賢者とか剣士とかか?
どれも当てはまらないんだけど?
そもそも俺って該当する職業あったっけ?
強いて言えば魔剣士?
いやいや、ないわー
こうして考えていてもしょうがないので、取り敢えず[万能]と書いておく
「では確認させていただきますね
お名前はエルさん
ご職業が…[万能]ですか」
後ろから、「ギャハハ万能だってよ」って聞こえた
そんなに面白いことか?
受付のお姉さんも複雑な顔してる
そんなにマイナーな職業なのか?
「そっ…それではこちらの水晶に触れて下さい」
微妙な空気になり、すぐに水晶に触れる
この水晶って何だろ
触れると何かあるの?
水晶から文字が浮かび上がる
名前と職業…これ紙に書く意味あった?
これ鑑定みたいな効果がある?
すごいねー なんて考えていたら文字が映らなくなり水晶が弾けた
「え?」
まっ…そうなるよな
恐らく名前と職業が出た後、魔力量、スキル、称号、後は適正かな
それを水晶が映し出そうとしただろう
でも映し出されずに水晶が弾ける
水晶が俺の魔力量に耐えきれなかった結果だ
「それでは登録は以上となるのですが
ガイズさんの紹介ということですが、念のため試験を受けていただきます」
「何やるの?」
「あそこにいる職員と模擬戦をしていただきます」
受付のお姉さんの視線の方向には腕を組んで立っているまさに教官って感じの男がいた
「ふーん強いの?」
「はい、強いですよ」
「そっかそっか」
なんか睨まれてるなぁ
今日はよく睨まれる日だなぁ
教官が付いて来いって感じのジェスチャーをしているので、その後をついていく
「じゃあ行ってくる」
「行ってらっしゃい」
まぁ、大丈夫だろっと言った感じでローナに見送られる
なんか冷たい
教官の後をついていくと演習場的なところに来た
ここでこいつと戦えってか
「ガイズの紹介ってことで先に登録をしたが、本来なら先に俺と戦い冒険者になっても問題ないが判断する
武器はそこにあるものをなんでも使え
そして俺に一撃入れてみろ
何か質問は?」
「じゃあ一つだけ」
「何だ?」
「瞬きをするんじゃねぇぞ?」
「は?」
一回の瞬きの間
たった一回、一瞬目を閉じた時、教官は一回転して頭から地面に落ちた
「やべ…加減を間違えたか?」
やっちまった、完全に白目剥いてるよ
だから瞬きをするなって言ったのによ
人の言うことはちゃんと聞きなさいよ まったく
あーあ、どうしようか
一撃入れてみろって言うから一撃入れたってのに
教官がこれじゃあ、俺の合否はどうなるんだろう
まさか失格とかはないよな
気絶している教官を心配していると何か拍手が聞こえてくる
「ハハハッ スゲェな!仮面のにいちゃん!
前線から引いてるとは言え、A級並みの実力のあるバラフィスを一撃かよ」
現れたのは顔に大きく傷があるガラの悪い男
歴戦を戦い抜いてきましたって感じが凄い
何コイツ怖っ…
「ちょっと暇潰しに見ていただけだが
とんでもねぇ場面を見ちまったよ」
「オッサン誰だよ」
「あぁ?俺か?
俺はそこで寝ている奴の上司だよ」
「ふーん そっかそっか
ならオッサンから見て俺は合格か?」
「あん?どっからどう見ても合格だろ」
「それならよかった」
「ただ問題なく合格なんだが」
「ん?」
「ランクの査定がまだだろ?」
「ランク?」
「そうだ バラフィスを倒した時点で最初からA級以上は確実なんだが
それで終わりじゃあ勿体ない
それでだ、にいちゃん次は俺とやろうか」
「何で?」
「最初からS級になりたくねぇか?」
「そんなことできんの?」
「心配するな この冒険者ギルドの責任者だ
何も問題はない」
このオッサン…まさかのギルドマスター
トップがいきなりここにきていいのかよ
そんな事を考えているうちにギルドマスターはもう準備を始めている
(こっちの了承も得ずにやる気満々かよ 元気なおっさんだ)
準備できたのか葉巻を取り出し、火をつけ蒸す
顔がイカツイからか葉巻がよく似合うな
「やる前に一つ聞いていいかい?」
「まだやるとは言ってねぇけどな」
「まぁそう言うな」
「…聞きたいことって何だよ」
「…にいちゃん…何者だよ」
「?」
「いやな…俺は引退した身とは言え、歴戦を戦い抜き、格上という格上を相手にしてきた
身体中に傷を作り、多くを失ったが、この世界で俺はそれなりの位置にいると思っている
それは今でも衰えちゃいない、毎日トレーニングをして何時でもまた前線に復帰できるように準備をしている
だがな、お前の…さっきバラフィスをやったあのお前の動き見て…ただもんじゃねぇと思った
この俺が目で追いきれなかったからな
何より、何度お前を〈鑑定〉しても〈鑑定〉できねぇからどれほど強いかもわからんし、俺の全細胞がお前と戦う事を拒否している
この感覚はそうだなぁ…
「成程ね」
「それで?何者だい?」
「……ただの一般人」
「そうか 答える気はないか
なら聞き出すしかないな」
「ハッ…やってみろ」
オッサンは専用武器であろうバトルアクスを取り出す
魔力の篭った武器、普通の素材じゃないな
ミスリル…オリハルコン…いや明らかに魔物の素材それも上位種か
「いいの使ってるじゃない」
「俺の相棒だからな」
「そんな上等な武器をここで使っていいのかよ
俺はただの一般人だぞ?」
「馬鹿野郎 ただの一般人が元A級を一撃で倒すかよ
それにお前を本気にさせるには丁度いいだろ?」
「…しょうがねぇな
ローナ そこにいるんだろ」
扉の隙間から覗いていたであろうローナが中に入る
ギルドマスターが出てきて気になったのか途中から影で見ている事は分かっていたが、S級冒険者の奴らもいたのか
まぁいいか
「よく見てろ」
「はい」
「さぁ、やろうか」
葉巻を握りつぶして火を消し、捨てる
それが開戦の合図となった
やれやれだぜ
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