第6話 絶世の美女?

「なー、いつまで怒ってんだ?」


「怒ってません」



少しからかってからローナはまだ不貞腐れたままだった。


ちょっといじりすぎたか?



「……のしいですか」


「なんて?」


「私を揶揄うのは楽しいですか!!」


「ん?……あー

正直楽しい」


「くっ…」



不貞腐れ、怒り、悔しがる。


ローナの反応は全てが面白い



「もういいです!」



頬を膨らましてズンズンと前を歩く姿に腹を抱えながら笑いを堪えている。


こんな時、ローナは3歩ほど歩いたところで必ず躓く


1、2、3…ほら躓いた


そんで何とか転ばないように踏ん張って何事もなかったかのようにするけど


だんだん恥ずかしくなり、顔が赤くなっていくと右耳を触り髪を靡かせる。


ほらやった!



「クククククッ…」


「何を笑っているんですか!!!」


「本当にお前はわかりやすい女だな」


「バカにしてます!?」



悔しがり気をつけようとするほどローナはポンコツになっていく


それを見るのが面白かった



「もうっ!!師匠のいじわりゅ!

あっ…」



噛んだ


ローナは自ら笑いのネタを提供するのも忘れない


やめてくれ、そろそろ腹が限界だ


本当に面白い面白いよ

お前みたいなやつは嫌いじゃない嫌いじゃないが


一つ気になっていることがある



「なぁ」


「はい?」



おうおう怖い目しちゃって


ちょっと揶揄っただけだろうに


そんなに睨みつけたら若いうちからシワができるぞ



「そう言えば

なんで敬語を使っているんだ?」


「え?」


「出会った時は敬語なんて使ってなかっただろう」


「……師匠に敬語を使うのが普通では?」


「そうか?」


「そうですよ」


「俺は敬語を使われなくても気にしないけどな」



ぶっちゃけ師匠と言っても一週間しか教えていない

偉そうにできる立場ではないと思っている



「いえいえ、上下関係はしっかりしておかないと

後々面倒な事になります


男女が一緒に歩く


それだけでも面倒なことを引き起こす事があります


彼と彼女は付き合っているのかとか


彼女が彼に弱みを握られているのではないかとか」


「ふーん」



ここまで聞くだけで人間関係は面倒だと思う


今ローナが述べているのは客観的からの意見であり、周りの人間が俺たちを見てどう思うのかを言っている


別に誰がどう思おうと人の勝手だ


だがそんなものを気にしては世の中を生きていけないと思うが、それを気にするのが人間というもの


視線、会話の話題

他人からの評価を知りたがり、自分の評価を上げようとする


それを他所に第三者は見ず知らずの人間の悪いところを見つけ、勝手に評価して会話の話題にする


それが噂となって広まる


それは人の娯楽の一つだと思う


人の不幸は蜜の味と言うが全くその通りだと思う


それは確かに面倒だ


ローナもその一人ということ、周りの評価を気にしているが、ローナの場合自分の事だけではなく俺の悪い評価がつかない様にするしている


そんなところだろう


フッ 可愛い奴め



「こんな絶世の美女が何で変な仮面を被ってる人と一緒にいるんだとか」


ん?


「そんなことを人は思っているわけですよ」



ちょっと暴言が聞こえたような気がするけどよしとしよう


だってドヤ顔を決めているけど耳が真っ赤になっている


自分で言った事が恥ずかしいんだろう


そこを俺は敢えて弄ってやろう



「絶世の美女?」


「そっ……そうです」



ククッ 顔が赤くなっていく



「フッ クククッ」


「〜〜〜〜!!」



ローナは恥ずかしすぎて顔が真っ赤になり顔を手で隠しながらその場にしゃがみ込んだ



「真っ赤になるくらいなら言わなきゃいいんじゃないか?」


「うぅ〜… 悔しい


私も仮面が欲しい」


「あっても意味ないだろ」



顔全体が赤くなり、そのうち湯気でも出るんじゃないかと思うほどに恥ずかしくなっていた


その姿を見てると何か変な事に目覚めそう



「あの…大丈夫ですか?」

「ん?」



後ろから呼びかけられ振り向くと優しそうなお姉さんがローナを見て心配そうにしていた


道端でしゃがみ込んでいればそりゃあ心配するか


すると優しそうなお姉さんは何かに気づくいた


そして



「…ローナ?」


「へ?」



自分の名を呼ばれ、ローナは顔を上げると赤面しながら少し泣いていた


ウケる



「…メイ姉?」



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