第14話 2022年7月31日 誕生日
46歳の誕生日を迎えた。もう4年以上ICDは作動していない。コロナは第7波に入り感染者数の過去最多を更新し続けている。
子供も中学2年生と小学6年生になった。相変わらず嫁と会話もなく、子供ともコミュニケーションが取れなくなってきた。家族揃って出掛けることも全くなくなっり、日曜日は一人で過ごすことが多くなった。
実家には両親と同居している弟夫婦が住んでいて甥っ子も2人できた。僕はほぼ毎日、仕事後は実家にサックスを吹きに行く。そこでもうまく接することができず会話もなく帰宅する。
自分は中学生の頃は自分の部屋を与えられて勉強もしやすい環境だった。それを自分の子供にしてあげられない。収入はあるがこの病気のため住宅ローンや保険が組めない。だからずっと小さなハイツ住まいのままだ。家族の今の生活を見ていると申し訳なくなる。
仕事も後継者問題が現実化してきた。いつかこの時が来るのはわかってたが、僕が会社の代表になるなんて荷が重すぎる。こんな病気を抱えていて、車の運転もできないのは致命的だ。せめて夫婦関係がよければ嫁に手伝ってもらえたたらよかったかもしれない。社長は叔父なので身内の僕をすごく気にかけてくれている。給料も上げ続けてくれているが、休みも少なくそれがすごく精神的にしんどい。
こんなこと考えるのは間違ってるのはわかるけど、もしあの夜車で意識をなくしたまま目覚めなかったら。子供もまだいなかったし、嫁は別の楽しい生活が送れたのかもしれないと考えてしまう。
いろんな不安や不満で精神安定剤と睡眠導入剤が欠かせなくなっている。だから余計に精神的に沈んでいるんだろうと思う。誰ともうまく関われない。ほとんど人に接することなく孤立している。
サックスや音楽は続けてるので、たまに音楽仲間さんから演奏の誘いがあるのが救いだ。夢中になれるものがあってほんとによかったと思う。
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