愛染町青年会の悩み
「おかえり&いらっしゃい」
気さくな挨拶を交わすサル
「相変わらず閑古鳥の鳴いてる居酒屋だこと あぁー閑古猿だっけ?」と軽口で返した
「相変わらずは酷いだろ?」
サルがちょっとムッとした顔で返して来たが
俺は お座敷の一番端っこに腰落とした 純も俺の向かい合わせにちょこんと座りながら 「サル 適当につまみと 生中二つ!!」
「あいよ!!」と 威勢の良い返事が返ってきた
久しぶりの再会に 乾杯!!
ビールジョッキを高らかに 合わせる チーン
積もる話 近況報告 昔話 話題は尽きる事が無かった
お互いの少年時代のエピソード 皆でツチノコを探しに行ったこと
俺に至っては 小学校の校庭の隅に設置されてた ジャングルジムのてっぺんで 母から借りた 風呂敷をマントに見立てて 格好付けていた事 俺は照れくさそうに笑った
最近の事と言えば 俺がプロレスラーを引退したことを二人に告げた
自分の体が限界だった事
悔しかった思い
今となっては 何がゴールだったのか?
これから 第二の人生を歩む事 それを探して居る事を 吐き出した
二人は ゆっくり何度も頷いた!!
「りゅーちゃんは プロレス以外にやりたい事あるのかい?」
この純の問いかけに 心が詰まった
中学校を卒業してから プロレスラーになるために 上京
若い頃からプロレス以外に考えた事が無かったし 想像もしていなかったからだ
俺は 沈黙した
空気を察したのか サルが
「まあまあ 今日は再会を祝して朝まで飲もうや!!」
俺たちは 笑顔で頷いた!!
酒も進み 砕け始めた頃
「この町も もう終わりかもな!!」
ため息まじりに 純が呟いた!!
観光客も 人口もどんどん減り続け 活気のある 漁港も今では 跡継ぎ問題とかで 高齢者が漁業を頑張っているが 高齢化していた
若い奴らは 高校を卒業したら 都心に夢を求め出て行く そこに生活基盤を作ったら もう戻って来る奴らは居なかった
かく言う俺も 中学卒業して 直ぐに上京しプロレス団体にお世話になった
この愛染って町も 風前の灯火なのだろうか?
しんみりしていると サルは「純は それで納得すんのかよ? ここで育って この町が好きで 盛り上げようってな気持ちにはなれないのか?」 熱く語り出したな もう手が付けられないと 悟った俺と純
静かに反論する純「どうしょもねーだろ? 俺だって悔しいけどさ どうにかなるのかよ?」
気持ちがあって 続けられない悔しい感情は 俺も良く理解していたが 酒も入ってたのも後押ししていた!!
「戦う前から 負けること考える馬鹿いるかよ!!」
バチーン 俺は純の頬に 平手を放った!!
「戦え!! 俺は勝つまで戦う!!」
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