両親1

「お母さん。これ、こっちに持っていくね。」

「ありがとうね。りょくちゃん。」

転生して五年。私は国境付近である南方の村で生まれた。生まれたときに始めてみた母はモデルも裸足で逃げ出すほどの美女。某有名戦記に出てくる主人公の母親並みに美しかった。一瞬『え、こんな美しい人いんのここ?。ぺルさんやアル並みに美しすぎるこの人が一般市民!?ここで生きんの無理ゲーじゃねぇか』と、本気で考えた。ちなみに自力で動けるようになって初めて鏡で自分の顔を見たが鏡に母親似の顔が映り暫く動けなくなるほど今生の母親の美しさは桁外れのものだった。父親はいないらしいが近所の人によくしてもらっているので生活には困ってはいない。こまってはいないが、半月ほど前から母親が体調を崩している。食欲不振、発熱など風邪の症状によく似ているが、元から体の丈夫な人ではなくなかなか体調が戻らない。夏も終わりに近づき体調が戻らなければ不味い。

「お母さん。ちょっと畑に行ってくるよ。お薬とってくる。」 

「えぇ。行ってらっしゃい。気を付けるのよ。」

畑で紫蘇を育てていて良かった。確か葉と種には解熱効果があったと思う。二、三枚葉をとり家に戻ろうとするとそこに今生で始めてみるような身なりの良い男が二人いた。一人は透き通った12月の誕生石、ブルージルコンの瞳と同色の石が嵌め込まれた長剣が目立つ背の高い男。もう一人は吸い込まれそうな黒髪を一纏めにし辺りを見回している。その背の高い男が私に声をかけた。

「すまない。嬢ちゃん。此処等に緋蓮ひれんって言う女の人いないかい。」

緋蓮ひれんは私の母です。母は体調を崩しているのでどうかお引き取り願います。」

「アレウス兄上、どうしますか。」

兄弟なのかも疑わしいほど似ていないが、この二人、とゆうかアレウス様?東側国土で国境を守る貴人と同じ名。と言うことは背の高い方は異母弟であるプトレオス様なのか。

「‥‥‥すまないが、少しだけで構わぬ。会わせてくれ。」

「たとえ、病が移っても母も私も責任を取れません。あくまでも貴方様がやったことだと誓約して下さいますか。」

「無論。」

言葉少なだが、信用はできそうだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

円卓の獅子達 regulus @regulusblack1961

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ