ハデス1
変態いやバカは不滅‥‥‥そう思うほどアポはしぶとかった。ハデスはローブを翻して本に触れると
「お前はなかなかに強かな女だな。」
「良く言われる。」
「あと、物怖じしないな。」
「良く言われる。」
「それに私たちの事をよく知っているな。」
「良く言われる。」
実際、美術部で書いた絵のモデルはほとんどギリシャ神話からとっていたのだ。
「美形だ ・ け ・ は多いからな、ギリシャ神話の神は。絵のモデルには良いんだよね。」
相手がどんなに嫌がろうが泣き叫ぼうがベットに押し倒す神が主神にいるあたりヤバイと思う。やっぱりギリシャ神はどこかイカれている。なんせ浮気=日常みたいなとこだからな。
「まて、どう言うことだ。」
「だって、ほら。あんたの末弟は浮気しまくって、不義の子をい~ぱい作っているし、お姉ちゃんは浮気相手を血祭りにあげてるし。いっちばん頭が良い姪っ子は人間の戯れ言でぶちギレるような人よ。全体的にこう…なんて言うか、性格破綻者か多い。」
「不義の子と目の前で言う辺り貴様は考えなしなのか。」
「あぁ、アポとアルのことか?それは不義の子と言えないぞ。なんせ『レトの生む子はゼウスの子供の中でもっとも輝く』って予言があったからな。ヘラの妨害有り無しに産まれてるぞ。人間がやるのと違って神の予言は百発百中。避けられないだろ。」
「レトが処女の誓いや結婚していようがゼウスは手を出したと言うのか。」
「アルクメネ、カリスト、アストリア、レダの例があるぞ。」
「そのもの達はゼウスより下位の者ではないか。」
「ぺルさんはどうなんだ?オリンポスの十二神で怒らせると干ばつを引き起こすし、ヘラだってゼウスの姉弟で女性の守護神だぞ。同列の者でも手を出しているじゃないか。」
「オリンポスの敵であってもか。」
「敵の娘であるマイアとの間にヘルメスを作ったじゃないか。」
「恩人であってもか。」
「セレネ、メティス‥‥‥は違うか。うん。見た目がよけりゃ誰でもやるよな。ゼウスは。アフターケアもしないし男としてどうかと思う。」
「……」
ハデスは完全に沈黙した。
「ハデス。他にはあるか。言うことは。」
「ない‥‥‥。」
遠目から見ていたが凰縁がハデスとの口論に勝利したようだ。それは死を欺いたシシュポスでも難しいだろう。
「アルテミス。どう思う。」
「えぇ、やはり。偶然とは思えないわよね。伯母様は?」
「私もよ。何かしら、惹き付ける物があるのではないのかしら。」
凰縁を見やるとハデスとの口論に飽きたのか本を読み始めている。
「あ、説明してない。」
「伯母様。伯父様が説明しておりますよ。」
「それに祝福もしてますね。」
濃い灰色に光を放ち背表紙は光った。
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