双子神2
「ごめんなさい。」
「すまなかった。」
起きてから息を付く暇もなくアポとアルから謝られた。後ろにはぺルさんともう一人、男の人がいる。
「いや、私が疲れて勝手に眠ってしまっただけだ。謝罪するなら私のほうだ。」
申し訳なかった。
頭を下げるとあり得ないものを見る目付きでアポが見てきた。
「いやどうしたんだ。」
「いやお前がそんな風に頭を下げるなんてありえなげふぅ!」
顎とくちを手ではさみあげ感情のまま叫ぶ。
「失礼だな!私だって感謝するときはするわ!」
本性が出てしまったが気はまだすんでいない。
後ろに回りチョークスリーパーをかけた。
「ぎぃゃぁぁぁ!!ギブッ!ギブッ!ギブッ!!」
「
アルに取り押さえられ少しづつ理性が戻ってきた。ぺルさんの近くにいた男の人に羽交い締めされる。
「おちつけ、深呼吸しろ」
スッ‥‥‥ハァーー、スッ‥‥‥ハァーー。
「落ち着いたようね。」
「あぁ……。落ち着きはしたさ。ただ」
アポに怒りを覚えていない訳じゃねえよ。
寸でのところで言葉を飲み込み、男の方を見る。
「名前を伺いたい。」
「……ハデス。プルトーンでも好きに呼べばいい。」
冥王ハデス。主神ゼウスの兄。コレーのこともあるしデメテルと中は宜しくはないと思うのだが。
「…コレーを拐ったのはゼウスにそう言われたのだ。女は少し強引なぐらいが良いと。それにデメテルには話をつけた。」
あぁ、なるほど。確かにハデスは女性の扱いに慣れていない節があると神話の中でも書かれていた。って、
「コレー‥‥‥って、奥さんはペルセフォネだろ?」
さっきので地はバレているだろうし初っぱなかはため口で行くことにする。
「彼女は冥王妃ペルセフォネでもあるが、それは1年の3分の1の間だけだ。……今は夫婦ではなく叔父姪の関係なのだ。」
「は、はは。変わっているな‥‥‥」
そう言えば
「ぺルさんあれは?」
本はと訊ねると慌てて本を渡してきた。柔らかなクリーム色の表紙には文字の代わりにギリシャ神話の神をイメージした絵が精密に描かれている。表にはオリンポスの12神、ティタン神族と華々しい神。裏はエキドナとその子供、ゴルゴン三姉妹、グライアイと異形の怪物。そして背にはギリシャ神話の華と言える勇ましい英雄。
「まさしくギリシャ神話の本だな。製作者にあってみたい。」
「知りたいか?」
回復したのかアポが馴れ馴れしくも話しかけてきた。
「ちっ、もう回復したのか。」
「おぉ、怖い怖い。」
「お前、そんなんだから悲恋の神なんて思われるんだぞ。」
「はぁっ!何で知ってるんだよ!?」
「ははっ。知らないのか。神のスキャンダルって有名なんだよ。女の人だったらダフネ、ヘスティア、コロニス、アカンサス、カッサンドラ、シビュレ。男の人だったらキュパリットス、ヒュアキントスなんかも有名だな。ってアh‥‥‥じゃなかったアポ。ダイジョブか?」
「すごいな。小キックはめ殺しのKOだぞ。」
ハデスがぼやいていたがスッキリした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます