受精
2019年 6月中旬
神奈川のとある公立高校の1年クラス。
「…ここは、××であるから。○○で~。」
瞼が重いが寝てしまったら駄目だと死ぬ気で眠気を振り払う。中学卒業の時にもらった桃のシャーペンで手のひらを突き刺す。痛みで少し目が覚めた気がする。
「
あっ、眠気を振り払うのに夢中で先生がキレかかっている。お陰で目が覚めた。
「聞いていますよ。これでも目は開いています。寝ていませんよ。」
「んじゃ、説明してもらおうか。」
うわっ、こえーっ。まぁ、簡単な問題だし良いか。
「…ここは方程式の(x+a)の二乗に戻してからグラフに当てはめればいいだけです。交点は(4、6)です。あってますか?先生。」
「…話は聞いていたようだな。」
「当たり前です。寝たら先生たちからの信用を裏切ることになりますから。」
それは堂々と大きな胸を張っていたと、
キーンコーンカーンコーン
チャイムがなり授業が終わる。五時間授業だから今日はこれで終わりだ。急いで帰える準備をして教室を出る
「…
出る直前に先生に言われたが、それは無理だ。
「‥.
「無理無理無理~!だって私は生活するために本読むでるんじゃないの。本読むために生きてんの!」
「せんせーっ!中国史の本、新しく入館したって本当!?」
だって受験期でも読みたくて堪らなかったんだ本が出たんだもん。今日は最終下校時刻まで居座ってやる。急いで
「
先生が根負けして奥から緑の本を持ってきた。
「…
「だって私の名前は
中国史の先生だった爺さんが考えて付けてくれたのだ。一生変える気はない。
「そうかい。あっ、先生少し先生会議があるから出掛けてくるね。」
すたすたとサンダルを鳴らしながら図書室を出てしまった。
「ふふっ、ふっくっく。」
第三者が居たら確実に驚きドン引かれる行動だが誰も居ないので気にしない。
本を開き三時間後
「はぁぁぁ。面白かったぁ。やっぱ項羽は最の高だね。」
さすがに疲れたし帰ろうと鞄を持つと真っ白な本を見つけた。触れると背表紙は紙ではなく何かの動物の皮で出来ている。
「なんだこりゃ。」
背表紙に金色の文字でΓνωστική δύναμη ομορφιάς Σε όσους έχουν τα πάνταと書かれている。確かギリシャ語の文字だ。スペイン語やドイツ語、フランス語は2年次の選択科目の中にあったがギリシャ語は無いだろう。取り敢えずなかを開いてみる。
そして
私はこの世界に二度と帰れなくなった。
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