第3話 一触即発
睨み合うララとシュランメルト。
咄嗟に仲裁を始めたのはフィーレだった。
「あのー。シュランメルト。その人とは事を荒立てない方がよろしいかと」
そしてグスタフも続く。
「ボクもそう思います。平和的解決を望みます」
そして小声で「物凄くおっかないんだから」とかぶつぶつ言っていた。
「ご注進には感謝する。しかし、
あくまでも対決姿勢を貫くシュランメルト。ララの態度も変わりそうにない。
「あの……。私のために争わないで」
目に涙を貯めて訴える黒子。しかし、その一言は一部否定された。
「私達だ。間違えるな黒子」
「そうよ黒子ちゃん。私達よ。間違えた娘にはお仕置きだ。えいえい!」
羽里が黒子の脇をくすぐる。黒子はたまらず身をくねらせ羽里から逃げようとするが、羽里もまた器用に黒子をくすぐり続ける。
「いやん。羽里ちゃん止めて頂戴」
本気で嫌がっていない黒子だが、その豊かな胸元はゆさゆさと揺れまくっていた。その胸元に引き寄せられた者が一人いる。グスタフだった。
「痛い。ししょう痛いです」
リラがグスタフの耳を引っ張り、黒子から引き離す。
グスタフを見つめる彼女の眼は完全に「白い目」となっていた。
「どちらも引っ込みがつかないようですね。ここは正々堂々と試合をされては如何でしょうか?」
リラの提案に頷く両名。
そしてララは両の拳を握りしめボキボキと骨を鳴らしていた。
「始めるか? 私はいつでもいいぞ」
そう言って構えるララ。しかし、リラが彼女を制止した。
「ララ様。屋内での戦闘はご容赦ください。決着は屋外の闘技場で。闘技場といっても特に施設を設けているわけではありません。ただの荒野ですが」
「わかった」
ララは頷いて表に出ようとする。それを今度はシュランメルトが制した。
「本当にやるんだな。ララ。其方の
その問いかけにララが首を傾げた。
「
その一言に唖然とするシュランメルト。それはあまりにも当然の反応であった。身長が10mを超える人型機動兵器と素手で戦うなど正気の沙汰ではないからだ。
「あ、あの……ララ……は正気か?
シュランメントが及び腰になる。その姿を見ながらフィーレとグスタフはしきりに首を振っていた。彼らはララの本気を信じて疑ってはいないし、彼らの師匠であるリラの
「まあまあ。もうすぐ日が暮れます。試合は明日の早朝という事でよろしいのではないでしょうか。今夜は当工房で異世界の方々を歓待いたましょう」
こうなってはリラの提案を受け入れるしかない。ララとシュランメルトは互いに頷きリラに従うのだった。
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