第2話 ララの目的

「貴方は誰ですか? どのような目的でここに来たのでしょうか。望まれない来訪者は排除いたしますよ」


 毅然とした態度で侵入者に対応しているのはリラ。

 そしてシュランメルトも彼女に対して鋭い眼光で対峙している。


「私はララ・アルマ・バーンスタインだ。アルマ帝国皇帝警護親衛隊隊長である」

「アルマ帝国?」


 シュランメルトはその名に聞き覚えがないようだった。しかし、リラとフィーレ、グスタフの三名は眉をひそめた。彼らはララの事を知っているようだった。


「今回は地球からの要請である。我がアルマ帝国の友人である高名な科学者、緋炭甲ひすみこう博士からの依頼だ」


「地球?」

「p.w.カンパニー?」

「まさか?」


 顔を見合わせる三名。しかし、ララはそれに構わず話を進める。


「今回、p.w.カンパニーは関係がない。ビューティーファイブのメンバー三人が行方不明になったとの情報が入った。一か月前である。ビューティーファイブに所属しているアンドロイドがこの三人について酷く心配し、それが原因で機能不全を起こした。そのアンドロイドは製作者へと送られたが、回復するためには行方不明のメンバーを発見することが必要だと判明した。そこで私が捜索していたのだ」


 その一言に驚愕していたのはビューティーファイブの三名であった。


「私たちは昨日出発したばかりです」

「一ヶ月なんて経過していないぞ」 

「うーん。何があったのかな?」


 黒子と知子、そして羽里が答えるがどうも的を得ていない。


「事情聴取は専門の係官が行う。さあ、そこの三名。直ぐに支度をしろ。帰還するぞ」


 強引に話を進めるララ。

 しかし、この場にいた全員がそれに納得していなかった。特にシュランメルトは不快感を露わにしていた。


「ララ。君の言い分は理解した。しかし、彼女達の言い分も聞いてみてはどうだろうか。彼女達は自らの任務を遂行するためにここに来たはずだ。問答無用でそれを中止させるのは問題がある。少し話し合ってはどうだろうか」


 静かに、そして理性的に語りかけるシュランメントであった。


 しかしララは引かなかった。


「これは主観時間と客観時間の相違に関する問題ではない。異世界転移業者の不正行為も視野に入っている事件となる。そこには人身売買も含まれる。彼女たちは一刻も早くその身柄を保護されねばならない」

「それならばおれが保護しよう。彼女たちがその任務を達成するまでおれが保護する。それなら問題はないだろう」


 シュランメルトがララに立ちはだかる。

 その燃え盛る眼差しはララを射抜くかのように輝いていた。


「ほほう。貴様、痛い目に遭いたいのか?」

「それはおれの台詞だ。おれは我を通す輩を嫌悪する」

「結構。後悔するなよ」

「それもおれの台詞だ」


 一触即発。


 睨み合うララとシュランメルト。


 本当にやっちゃうんですか?

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