荒野の決闘!☆シュランメルトvsララ

暗黒星雲

第1話 ここはベルグリーズ王国

「はいはーい」

「皆さんこんにちは!」

「私達は美少女レスキュー」

「ビューティーファイブ! でーす!!」


 半袖のブラウスにカラフルなベスト。そして際どく短いミニスカートを身に着けている三人の少女。


 一人はやや長身で筋肉質な体形。スマートな脚線が美しい彼女のイメージカラーはライムグリーン。

 一人はやや背が低く、ぽっちゃり系で胸元が豊か。彼女のイメージカラーはピンク。

 一人は中肉中背のバランスが良い体形。メガネっ娘の彼女は黄色がイメージカラー。


 ここはベリグリーズ王国の片隅にあるリラ工房。


 今日は美少女アイドルユニット兼レスキュー部隊のビューティーファイブがあいさつイベントに訪れていた。


 工房内の会場は大盛況とは程遠く、そこにいたのは男女四名であった。


「私は航海士の綾川知子あやかわともこ! 今日は大事な話があってここに来ました」


 ライムグリーンの衣装を着た少女があいさつした。


「私は操舵士の黒田星子くろだせいこです。今、私たちが活躍中の物語を是非皆さんにお知らせしたくてやって来ました」


 ピンクの衣装を着た少女もあいさつする。


「私は機関士の有原羽里ありはらはり。みんなよろしくね。特に、私が大活躍する『第二章 星屑の魔術師』編がお薦めよ」


 黄色の衣装を着たメガネっ娘もあいさつをする。


 一人、二人、三人。

 ビューティーなのに何故三人なのか。


 少年は疑問を感じて質問した。


「ボクはグスタフ。グスタフ・ヴィッセ・アイゼンヘルツです。お姉さんたちはどうして三人なの?」


 見た目は小学一年生の少年が素朴な疑問を投げかける。

 その質問には腕組みをした羽里が答えた。


「私たちビューティーファイブのメンバーは5人です。しかし、あの隊長は可愛くないのです。どちらかと言うと、デカくてキモイんです。だから表に出せないの」


 羽里の説明が納得いかないのか、グスタフはぽかんと口を開けたままだ。続いて黒子が説明を付け加えた。


「副長は鬼と呼ばれている大変恐ろしい方です。グスタフ君。君ね。お行儀が悪かったら食べられちゃうぞ」

 

 その一言に怯んでしまうグスタフ。しかし、隣にいた少女はグスタフの前に両手を広げて立ちふさがった。


「私はフィーレ。フィーレ・ラント・ベルグリーズです。グスタフを食べるなんて私が許しません」


 顔を真っ赤にしてまくし立てる。その剣幕を笑いながら制止する若い男性。


「フィーレ。冗談だ。さぞや厳しい副長さんなんだろう。本当に食べたりはしないさ。失礼。おれはシュランメルト・バッハシュタインだ」


 そしてもう一人の若い女性が口を開く。


「そうね。冗談ね。グスタフにフィーレ。分かりましたか」

「はい」

「はーい」


 二人共返事をするがその口調はどうやら悔しいらしい。なかなか素直になれないようだ。


「私はリラ。リラ・ヴィスト・シュヴァルベよ。この工房のあるじです。ビューティーファイブの三名を歓迎します。そしてその物語に関しては、可能な限りご紹介していきましょう」


 穏やかに微笑む女性。彼女こそ、若き天才の異名を持つ王国最高の魔術師と言われている魔術界の重鎮である。


 音楽が演奏され、ビューティーファイブの三名は踊り始めた。今から彼女達のテーマソングを披露するようだ。


 しかしその時、扉を蹴破り乱入してくる者がいた。


 その者は青い瞳をした少女であった。その金色の髪は短めのツインテールに束ねてある。ジーンズに黒いジャンパーを羽織っているが、ジャンパーにはNinjaのロゴが刺しゅうされていた。


「見つけた」


 不敵に笑うツインテールの少女。

 彼女は何の為にここへ来たのだろうか。

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