親の顔が見えてない

恋と云うのが分からないので




心の澱みに色もない




愛と云うのも分からないから




老いて悲しむことがない




頭上のつららに気を取られ




気付かないまま沼に落ち




助けを呼んでも誰も来ないので




アリのお腹の中暮らし




触れた音色は揺らぎとなって




遊離した霊を繋ぎ止め




肝の温度を高めて曰く、




「なべて万象、意味はなし」




溶けた澱みはするりと落ちて




やがて優しく地に満ちよ




腐る心は昇華の果てに




外の景色が青緑




悔恨滲みて、消えた王冠




望郷だけが幻想だ

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