記憶

もう、あなたは忘れたでしょうね


私たちとの約定を


古い湖底の遺跡の中で


我等が交わした契約を






きっと、あなたは知らないのでしょう


忘れてしまった、その事すらも


心の奥のその内に


確かに残る寂寥も






だから、あなたは往くのでしょうか


そんなに苦しい心を抱え


救いを求めこの湖に


何をしたのかも知らないで






けれど、あなたは来てはならない


ひどく綺麗な湖に


それはあなたの捨てたもの


最早私になったもの






あなたは湖に来てはならない


それが最善なのでしょう


けれど卑しい私の声は


あなたを求めて揺れている






私はここにいてはならない


これはあってはならないモノ


あなたを誘う夢魔に似て


忘れるべきが蘇る










湖に来てはならなかった


それでもあなたはここにいる


忌むべき事とは知っているけど


それこそ歓び、私の歓喜

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