言葉の墓場

人喰い列車

　タタンタタンと音は鳴る

　人喰い列車は夜を走る

　踏み切りは既に血に塗れ

　ホームに佇む腐乱死体

　線路の上には挽肉ばかり

　車掌の頭が崩れ出す

　列車の中には男たち

　混ざって千切れた人の群れ

　自重で潰れた間抜け共

　卑し、浅まし、悍ましい

　人喰い列車は浮き上がり

　線路からふわり空駆ける

　ボトボト窓から落ちる肉

　地上の阿呆にぶち当たる

　悲嘆に暮れてる未亡人

　そこに突き刺さる元旦那

　ロープは要らない、自殺には

　列車の前に立てばいい

　鳥轢き、空飛ぶ人喰い列車

　止めようとする自衛隊

　ヘリにドローンに戦闘機

　怪獣退治も楽勝だ

　けれど相手は人喰い列車

　全て轢かれてスクラップ

　乗っていたヤツ皆死んで

　地面にボタボタ、鉄刺さる

　人喰い列車は未だ飛ぶ

　乗員乗客振り捨てて

　成層圏を遥か抜け

　重力井戸を飛び越えて

　光の速さをとうに過ぎ

　ぐんぐん遠く、空へと、外へと！

　太陽系を抜けていけ

　銀河の果てを置き去りに

　泡状構造、飛び抜けて

　さぁ行け列車よ、遠くの宇宙へ！