番外編第1弾 けっぱる私

「紗耶〜!そろそろ起きなさーい!」

下から声が聞こえて来る。高校に入って数日が経った。最初は着慣れなかった制服も少しずつ慣れてきた。

「紗耶〜!遅刻するよ!!」

どんどん声が大きくなってくる。急がないとまた怒られる!ダッシュで階段を駆け下りる。

「おはよう、紗耶」

「おはようございます!奈々未さん!」

頼れるお姉さん奈々未さん。北海道にいた頃からお世話になってる。お姉ちゃんのような存在

「ほら、早く食べちゃって、私今日早く家出なきゃだから」

「はーい」

私は今奈々未さんが昔通っていた高校に通ってる

他の学校にはない珍しい部活があって奈々未さんが昔その部で活躍していた姿を見て私もそこを目指すようになった。勉強は死ぬほど大変だったけど...

「何ボーっと人の顔見てるの?早く食べる!」

「ごめんなさ〜い」

急いで食べて学校に行く準備をしはじめる。

「鍵ちゃんと閉めてね〜!」

「はーい!いってらっしゃ〜い!」

私もすぐに準備を終え学校に向かう。

向かう途中、同じ部活のさくに会った

「おはよう〜!」

「おはよう〜!昨日習ったダンス覚えた?」

「全然〜!どうしよう〜!」

さくは最近元気がないように感じた。新入生発表会の曲でセンターをやることになってからずっと、きっと不安なんだろうなぁ...でもどうすれば元気にさせられるか分からなかった。

「紗耶どうかした?」

「ううん!なんでもない!今日の国語のテストが心配なだけ!」

「あ!そうだ今日テストじゃん!どうしよう忘れて

 た、紗耶勉強した?」

「全然やってない!」

「そんな食い気味で言わないでよ笑」

学校についてそれぞれの教室に向かう。どうすれば元気になるかなぁ...


授業が終わり部活も終えて帰ろうとすると窓からさくが走っていくのが見えた。いつもかっきーとあやめんと一緒に帰るのに、とても嫌な予感がした。部室に残っていた他の子達も気がついたのかすぐに荷物をまとめて2人と一緒にさくを追いかけた。

さくは河川敷で泣いてた。見たことのない女の人に抱かれながら声を出して泣いていた。何もできなかったのが悔しかった。みんなでさくの元に向かい、さくをギュッと抱きしめた。沙耶香が最初だった気がする。さくはすっきりした顔をしていた。



みんなと別れて泊まらせてもらってる奈々未の家に帰る。


「ただいま〜」

「おかえり〜先お風呂入っちゃいな〜」

さっさとお風呂に入りご飯を食べる。今日は私の大好きなモモがデザートに出てきた。


「ねぇ奈々未さん、センターってやっぱり怖いん

 ですか?」

「えぇ〜?どうしたの急に?」

「友達がセンターに選ばれたんだけど、それから

 ずっと元気ないんです。」

奈々未さんはホットミルクを入れて私にくれた。

「そっか、私は1回しかないけど、物凄く緊張した

 し不安だったなぁ。」

やっぱりそうなんだ...きっと私が思ってる以上に辛いんだろう...

「でも後ろでみんなが支えてくれたから安心でき

 た。選ばれなかった時もセンターの子を支える

 事は大事にしてたけどセンターになって改めて

 支えることの大事さに気づいた。紗耶も支えて

 あげな」

私の頭をポンポンとして後ろ手でピースしながら部屋に向かっていった。


翌朝、登校しているとさくに会った

「紗耶おはよう〜!昨日はありがとう!」

「おはよう〜!元気になってよかったよ!」

私は昨日みたいにギュッと抱きしめた

「...今泣いてもいいよ?」

「もう!泣かないよ〜!」

2人で笑い合いながら学校に向かった。

「ねぇ、さく私決めたんだ」

「ん?何を?」

「しっかりさくの事支えるって今まで以上に支える

 って」

「ありがとう、安心するよ、」

2人でまたギュッと抱き合ってお互いの教室に向かう。


そして新入生発表会。迎えた

みんな緊張していた。私も緊張していた。

でもさくの一言でみんなすっきりした顔になった

みんなで集まってギュッと抱き合った。前はみんな泣いてたのに今はみんな笑顔だった。

幕が上がると奥に奈々未さんが見えた。奈々未さんの周りにはこの前さくと一緒にいたお姉さんや他の卒業生が沢山いた。奈々未さん達にしっかり見てもらおう。


センターで歌うさくを、さくを支える私達を

私達という新しい光を!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

楽曲妄想小説1 風のレッサー風太 @Futa1201

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る