第3話雨の中

その知らせは突然だった。

「今度の新入生発表会の曲のセンターは遠藤さくらにやってもらう、曲は来週発表するからそれまでは今まで通りの練習をやっておくように、以上!」

みんなは祝福してくれた。私も嬉しかった。

それ以上に不安だった。自分でいいのか、他の人の方がいいのではないか、そんな事ばかり考えて

いた。

「遠藤!集中しろ!」

「は、はい!」

練習にも支障がでて、私はどうしようもなくなった不安に押しつぶされてどうしようもなかった。

部活が終わり準備をしていると声をかけられた

「ねぇ!さくちゃん!一緒に帰ろう!」

あやめちゃんと賀喜ちゃんだった。きっと私が元気ないのを気づいたのだろう

「う、うん、でも今日はごめん用事があるから...」私は嘘をついた。罪悪感はあったが今は1人になりたかった。急いで荷物をまとめ学校を出た

外は強い雨だった。私は泣いた。いつも通る河川敷で傘もささず、いろんな想いを吐き出したかった。自分の不安を少しでも忘れたかった。ふと後ろを振り返ると女性がいた。

「久しぶりだね、さくらちゃん、どうしたの?」

「あの時の...!」

雨雲から光が差し込んだように思えた。

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