第2話まっすぐ道を進むだけ

入学式から数日たった。

憧れの制服に初めて袖を通してから何日も経っているのに、まだ少しドキドキする。

部活はずっと憧れていたこの学校特有のアイドル部へ入った毎日歌とダンスのレッスンで大忙しだ。今日もいつも通り準備をして朝ごはんを食べリボンを整え家を出る、今日はいつもより少し早く家を出ることができた。河川敷を渡り坂を登る。学校の前の大きな坂を登るのには毎朝一苦労する。登り切ると息切れがすごい、まだ若いのにもう歳なのかと思ってしまう。

「君、あそこの学校の子?」

突然声をかけられた。驚きそちらを見ると髪の短い女性がこっちを見てニコニコしてる。

「え、あ、はい...」

「そっか!ごめんね突然声かけて驚かせて自分の後輩と思ったらちょっと話してみたくなっちゃってね、名前は?」

「遠藤さくらです...」

「さくらちゃんか、君とはまた会う気がする、あ、こんな時間!?遅刻する!じゃあね!」

「え、あ、あの貴女の名前は!」

「フフッ、また会ったら教えてあげるよ!じゃあね!」

「え、ちょ、ちょっと!」

突然現れて突然消えていく嵐のような人だ

「さくらちゃん?なにしてるん?」

「あ、聖来ちゃん!おはよう!」

彼女は早川聖来、同じクラスで同じ部活、大阪から上京してきたらしい。

「おはよ!何ボーっとしとん?遅刻するで!」

腕時計を見ると門が閉まる3分前だ、坂の半分くらいしかきていない自分はこのままだと完全に遅刻だ

「えっ!?やばい!待ってー!聖来ちゃーん!」


結局その日は遅刻ギリギリで教室に入れた。


夜、寝る前に日記を書いた、高校に入るタイミングで何か始めようと思い始めたものだ、今日は色々書けそうだ。部活のこと、昼休み起きたこと

遅刻しそうになったこと、そして自分の先輩らしい謎の女性、私は彼女が残した学校の歴史をしっかり受け継いでいるのだろうか、自分に何かできるのか、不安と期待が入り混じって日記を書いてすぐ寝たのに夜明け前に目が覚めてしまった。

「とりあえず自分らしく頑張るしかないか...」

まだまだそれくらいのことしか考えられないようだ。自分らしくその難しさに気づくのはそう遠くない...

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る