シモーヌ編 他者の不幸を願う本性
新暦〇〇三六年六月五日
今日もビクキアテグ村では、
そして
そんな様子を、シオはタブレットを介して見てる。こういう場合、ついそれを妬んでしまうことがあるというのも、人間だったりするだろう。
でもな。そこで他所様の幸せを妬んだところで自分が幸せになれるわけじゃないぞ? 俺も、妹の
なるほど、他所様を攻撃して嫌な思いをしてる様子を見れば多少は溜飲も下がるかもしれない。気分も高揚するかもしれない。だがそれは決して<幸せ>じゃないだろう? しかも一瞬だけのことだから、次から次へと同じ様なことを繰り返してってしなきゃならなくなる。
で、その先に得るものはなんだ? 幸せになれるのか? 安らいだ気分になれるのか? 自分の周囲でそういうことをしている人間がいるならそれを見てたらいろいろ分かることもあるんじゃないのか?
少なくとも俺はそんなことをしていて幸せを掴んだ奴なんて見たことない。たまたま何かの出逢いに恵まれたとしても、他者の不幸を願う本性を相手に知られると、結局は、
『そんな人だとは思わなかった』
って感じで破局するんだ。いや~、剣呑剣呑。
それもあって俺は他所様に当たり散らすんじゃなくて、面倒な人間社会から逃げ出す形で
そういうのも含めてぐちゃぐちゃな精神状態だったってことだ。
それが今や毎日幸せを噛み締めてる。
しかし、それに対してシオは今まさに<つらい現実>の真っただ中だ。その彼女を労わることができなくてなにが<人間>だ。
とは思うものの、だからといって<幸せの押し売り>というのも、される方からすればただの、
<不幸>
だしな。
彼女を見守りつつ、
『思い悩んだって仕方ない! 楽しく行こうぜ!!』
的にウザがらみするのも違うだろう。彼女はそういうのを好むタイプじゃない。そこで『自分とは違う』ということを理解しないというのは、
『相手を人間として接してる』
とは言わない。
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