シモーヌ編 二度目のテスト
新暦〇〇三六年四月八日
こうしてロボットオートジャイロの試作一号機は見事に大失敗に終わったが、
まあ、あれについては、
いずれにせよ、気にするほどのことじゃない。
そんなわけで、今日はもうすでに二号機のテストに入ることになった。トライエンドエラー。しっかりしたものができるまで何度でも試すまでだ。
だが、前回の失敗から再設計を行い、かつ、出来上がった部品のチェックもさらに厳しく行ったからか、二度目であっさり成功する。オートジャイロという機械そのものの設計は非常に枯れたものなので、気を付けるべき点は完全に分かっているし、学生の卒業制作みたいなものでもちょくちょく作られるようなそれになってるからな。設計通りの品質さえ確保できればこんなもんだ。
そうしてそのままテスト飛行を行い、俺達の集落の近くを通り、
フライトは往復で四時間。平均速度は八十キロ。最高速度は百キロ前後か。もっと速度を上げることは可能だが、別にそこまで急ぐ必要もないし、こんなものでいいだろう。ちなみにオートジャイロには普通の飛行機と違って<失速>というものがないそうで、前回のように回転翼が壊れたり空中分解とかでもしない限りは、低速でも墜落はしないそうだ。前進しなくても単にそのまま降下するだけで急激な墜落はしない。ただし、<背面飛行>はできないとのこと。これも、アクロバット飛行は必要ないので問題ない。
あと、ヘリコプターのように<ホバリング>も基本的にできない。前述したように降下してしまうから、同じ位置に留まることができないんだ。強い風でも受けてればできなくもないらしいが、自力でできないのならそれは『できる』とは言えないだろう。
オートジャイロには、母艦ドローンではできない、そこそこの重量物の回収や運搬や、威力偵察を行ってもらうさ。あと、開けてはいるが地面が十分に平坦じゃない、というところでも離着陸ができるから、ワイバーンには不向きなところにも出向いてもらうことになる。
加えて、ワイバーン一型、二型、三型についても、ホビットMk-Ⅱの信頼性が高まってくれば、これまでのドーベルマンMPMベースのものからホビットMk-Ⅱベースのものに切り替えていくことになると思う。
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