玲編 生き延びた奴が勝者
新暦〇〇三五年九月二十四日
今日もまた、
その光景を見ているだけでも、俺はホッとする。今のところはまだ、
一方、ビクキアテグ村では、ケインとイザベラとキャサリンも順調に育っていた。
しかも、イザベラは、
ただ、
地球人の子供と比べるとだいたい五歳くらいに見えるようになった
「……」
自分の前で体を左右に揺らしながら飛び掛かるタイミングを計っているかのような彼女の様子についても、黙って見ているだけだった。
イザベラの方も、たぶん、本気で勝負を挑んでるわけじゃなく、狩りの練習をしてるだけだろう。獲物に飛び掛かるタイミングを、
いずれはさらに次の段階に進んで本当に飛び掛かったりするようになるかもしれないが、怪我をするようなそれの場合には、テレジアかモニカをはじめとした誰かが止めることになっている。
狩りの練習は必要なものの、命に係わるような大きな怪我はする必要はない。人間として生きるならな。
<経験>というやつは、生きていてこそ役に立つものだ。死んだら何の意味もないんだよ。
『その程度で死ぬようならそもそも生き残れない』
などと、地球人の中にはそんなことを言う奴もいたが、実際に自然の中で野生として生きたこともない、野生として生きている動物と何年も共に生きたこともないようなのが、そんなことを言っても陳腐なだけだ。
高い能力を持っているものであっても、ちょっとした巡り合わせの妙で簡単に命を落とすこともある。それが自然であり野生なんだ。強い奴が生き延びるとは限らない。生き延びた奴が勝者というだけなんだよ。
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