玲編 チップ
『
俺の言葉に、エレクシアは、
「承知しました」
躊躇うことなく応えてくれる。彼女にしてみればそれこそ<朝飯前>だしな。今はイレーネもいるから彼女に俺の警護も任せられるし。
「では、行ってまいります」
マンティアンの<天然の装甲>には、拳銃タイプの射出機ではまったく通用しないので、シリンジタイプの注入器を用意して、エレクシアは森へと入っていった。これさえ、メイトギアの力でないと刺さらないが。
ところで、俺の警護を任せることについて、イレーネに対しては通信でやり取りするなら言葉では会話をする必要もない。ただそれだと、人間の目にはちゃんとやり取りしたのかが分かりにくいから、わざわざ<会話>をすることもある。この時も、
「それでは、マスターの警護をお願いします」
「承知いたしました」
と簡潔ながらもそうやってやり取りしてくれた。と同時に、通信でもっと詳しいやり取りもしてるけどな。
なんにせよ、エレクシアに任せておけば大丈夫だろう。
と、思いたいところだが、
さりとて、情報不足は
いずれにせよ、万が一の事態も考えて
なのに、
「ドローンが
エレクシアが報告してくる。
「くそ……っ! ダメか……」
彼女のセンサーの範囲内に入ればいくらマンティアンが気配を殺そうが隠れられない。しかし、それはあくまで、彼女のセンサーの実用有効半径である十メートル前後くらいでの話。そもそもそこまで近付けないといくらエレクシアでも発見できない。
やれやれ、無駄足だったか。
とは言え、移動すればドローンやマイクロドローンのセンサーでも捉えられるだろうから、その時にということで。
「仕方ない。今回は戻ってくれ」
俺はエレクシアにそう命じ、
「承知しました。マスター」
彼女もためらうことなく応じて、引き返してくれる。人間なら文句の一つも言いたいところだろうが、ロボットである彼女はそんなことも気にしない。
そんなわけで
次に見付かった時には早々にエレクシアを派遣してチップを付けてもらおう。
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