灯編 個体差
こうして生まれた三人の子供達を、ビアンカは、
<ケイン>
<イザベラ>
<キャサリン>
と名付けた。名前からも分かる通り、男児一人に女児二人だ。取り敢えず、尾部の形状を見る限りは。
ただし、<人間のようにも見える部分>は、三人とも<女性>だった。つまり、ケインも
<人間のようにも見える部分と本体の性別が一致していない個体>
ということである。これは、ほぼ二分の一の確率で起こることだというのは分かってるので、異常でも何でもない。ただ、
で、
『生きた
のは、ケインだった。だが、勘違いしてはいけない。
『男のクセに情けない!』
なんてのは、地球人の感覚に過ぎない。野生では、性差による凶暴性の違いなんて大して顕著でもないし、むしろ雌の方が雄よりよっぽど狂暴という種だって別に珍しくない。
それに、人間として育つなら、<
遺伝子的には純粋なマンティアンである
もちろん、マンティアンであり
だから、人間として生きていく限りは致命的な<欠陥>ではないはずなんだ。
あくまで問題は、
『人間として生きていけるかどうか』
なわけで。
だがそれも、なにぶん初めての事例だからどうなるかは分からないし、とにかくやってみるしかないんだよ。
そんなわけで、ケインが入っている孵卵器(いや、今はもう保育器としての機能に切り替わってるが)の中の
するとケインは、恐る恐る近付いていって、セシリアの手から肉をひったくって保育器の隅で小さくなって、でもしっかりと肉を食べ始めたのだった。
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