灯編 シモーヌの提案
『アラニーズであるビアンカの子供達も、同じように共食いをする可能性が否定できない』
「……」
その場にいた者はみんな薄々察してはいたが、シモーヌに具体的に言葉にされると、さすがに緊張が奔った。
そうだ、
そういう生態なんだ。これは、地球の生物でもサメの一部などにも見られるものらしい。だから決して、
つまり、
しかし、ビアンカの子が共食いをする光景を見たいとは、さすがに思えないな……
だから、
「だから私は、孵卵器を用意して、卵のうちに一人一人個別に保護するべきだと思う」
シモーヌの提案に反対する者はいなかった。
確かに、
一方、最初のアラニーズとしてここにいるビアンカがそれを受け入れられなくても当然だし、俺達だって、他に手立てがないなら受け入れるしかないものの、シモーヌの提案は別に何も難しいものでもない。何しろ、その<孵卵器>自体、元々コーネリアス号に準備されてるものだからな。
原生生物を発見した際にそれを研究観察するために必要かもしれないとして用意されていたんだ。
しかもその孵卵器、万が一コーネリアス号内で子供が生まれてその子が<低出生体重児>だったりした場合には<保育器>にも転用できるという仕様だった。これも、セシリアがメンテナンスしてくれて万全の状態に戻っている。
「正直なところ、上手くいく保証はない。卵胎生で母親の体内で孵化する生態を持っている生物を卵の状態で取り出して孵卵器に移してそれで無事に育つ保証は全くない。同時に、
「確かに」
そうだ。アラニーズであるビアンカには、
「でもそれはあくまで、<ビアンカとしての人格>があるからという可能性も高いというのも事実。なにしろ、人間性を取り戻す前のビアンカは、普通に野生の猛獣と変わらなかったしね」
<人間としての理性>が、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます