蛮編 パルディア
だが、パルディアの戦い方というのは、気配を殺して近付き必殺の一撃をお見舞いするというのが基本で、かつ、自身の身体能力を活かした力業というのが一般的だった。だからそれこそ、確実に勝てると思った時しか戦わないという、実にスタンダードな戦法だ。
ゆえに、すでに相手に察知されてしかも力でも圧倒的に上という条件ではあまりに不利だった。むしろ勝てる要素が見当たらない。どうやって勝てばいいのかが分からない。
それこそ奇跡にでも頼るほかにないとしても、諦めはしない。諦めなければ奇跡も起こるかもしれない。だから戦う。
掴みかかってくる
ガリッ!!
ギャリッッ!!
と金属音がするばかりで、まったく通用していない。
とは言え、胸に子をしがみつかせたまま
しかしそれが
『邪魔だ!!』
と言わんばかりに力尽くで払い除けてへし折っていくんだ。細い木などは、体ごとぶつかって根元から折ってしまったりも。
そのあまりにとてつもない姿に、パルディアにも怯えが見え始める。が、当然、そんなことでは諦めない。
それこそクモの糸のような頼りなく細い、
<生き残る道>
を手繰り寄せようとしてるんだ。
体を回転させ足でも
だが、ここまでですでにパルディアの体のあちこちには血が滲んでいた。
パルディアの方も極限状態にあることでほとんど痛みを感じていないようではあるものの、その姿はとても痛々しい。
『がんばれ! 負けるな!』
と声を掛けてしまいそうになるくらいにはな……
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