蛮編 それぞれの生存戦略の見本市
その
なのに、
「!?」
自分が発見され攻撃対象にされたことを察知した
真向勝負すればそれこそ一瞬で決着がつくだろうな。そんなことは
狙われていると悟った瞬間に逃げに転じる。ドーベルマンMPMがそうしたように、木の枝や幹を盾とし視界から外れようとする。加えて、
『直線距離としては近いのに実際に捕まえようとすると果てしなく遠い』
という間合いを取る。この密林に暮らす動物の多くが、格上の相手と戦わなければならなくなった時には当たり前に使う戦術だ。
いかに格下だろうが、こと、『生きる』という点においては単純な戦闘能力など実はそれほど当てにならないという光景を俺も何度も見てきた。何しろ、野生の生き物に<卑怯>などという概念も<正々堂々>という概念も存在しないんだ。そして
この時に
瞬間、
パシュンッッ!!
と小さな破裂音が響く。と同時に、
「ガヒッッ!?」
それまでただただ眼前にある対象を惨殺することばかり考えていたかのような
<生きた化学兵器>
だった。ここまで無敵とも言える姿を見せてきた
自然というのは実に面白い。そして、それを文字通り<目潰し>として使う
単純な筋力や牙や爪だけでは決着がつかないこともある。
<それぞれの生存戦略の見本市>
そういうのも、自然というものの姿なんだって気がする。
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