ホビットMk-Ⅰ編 宇宙戦闘掘削艦・轟震

<バケットホイールエクスカベーター>の話をしたからつい思い出して、光莉ひかり号アーカイブから引っ張り出してしまった。


<宇宙戦闘掘削艦・轟震ごうしん


それが、


<宇宙船の機能を持たされたバケットホイールエクスカベーターを戦闘艦に改造し、異星からの侵略者に立ち向かったSF映画>


のタイトルだ。で、それを一人鑑賞する。


正直、子供っぽい拙さは感じるものの、ツッコミどころはてんこ盛りなものの、でもなんかこう、今でもワクワクする感じはあるんだよな。


艦首に備えられた直系六十メートルのバケットホイールにはビームバイトが装備されて、敵艦や敵の要塞をバリバリと砕いていくという荒唐無稽な攻撃方法とか、本当にバカバカしいんだが、見てると興奮するんだよ。


しかも、第一シリーズのラストで、敵の罠に嵌まって主機が破壊されて出力が不足、ビームバイトが使えず、それでも敵の巨大戦艦に特攻、補機のガスタービンエンジンを全開にして推力を得つつ本来のバケットホイールを全力運転、ボロボロになりながらも相打ちに持ち込むところとか、最高に燃えたよな。


全クルーを退艦させて、山本艦長が一人残って、ロボットでもある轟震ごうしんのAIと、


「私は艦長だ。私がいないとお前は何もできないだろう?」


「私はこの機体のAIです。人を犠牲にはできません。ですので、最後まであなたを生かすために全力を尽くします」


とかやり取りをするんだよ。<宇宙戦闘掘削艦・轟震ごうしん>の舞台とされている三十世紀においてはまだ、


『人間と人間以外』


についての議論が煮詰まっておらず、


『異星人も原則<人間>として扱うことになるだろう』


という目算だったこともあり、異星人を攻撃するにも人間の判断が必要だったんだ。それから考えると今はまあ随分とがっちり『人間と人間以外』を区別するようになったもんだが、これもあくまで、


『異星人を人間と見做すかどうかはあくまでその時になって人間が議論し判断する』


ってことが決まったというだけで、別に、


『異星人は人間じゃない』


と思っていたわけじゃないんだ。どこまでも『AIにその判断をさせない』というだけの話で。


だから、ひかりあかりひなた萌花ほのかやシモーヌやビアンカや久利生くりうやルコアや未来みらい黎明れいあについてAIは『人間である』と判断できないということだ。『人間に準じた存在である』とは考えられるんだけどな。


で、<宇宙戦闘掘削艦・轟震ごうしん>の話に戻すと、異星人の巨大戦艦に攻撃をするにあたって山本艦長の指示が必要だったということだ。


でもこれも、今じゃ現場で指示を出す必要もなくなって、完全なロボット艦隊が<リヴィアターネ>を武力で封鎖できたりもするようになったんだよなあ。


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