ホビットMk-Ⅰ編 凡夫
時系列が行ったり来たりしてややこしいとは思うものの、ここからはまた少し時間を遡って、<ホビットMk-Ⅰ>について少し詳しく触れていくことにする。
ここ惑星
新暦〇〇三四年四月十九日
ホビットMk-Ⅰは、一部のセンサー及び制御系を除いたすべての部品を、ここ惑星
ドーベルマンDK-aからアリスシリーズとドライツェンシリーズへとステップアップし、
<コーネリアス号の工作室頼みの生産能力の限界>
を突き付けられて、それを補うためにドーベルマンMPMを作り、しかし今度は、
<アリスシリーズやドライツェンシリーズやドーベルマンMPMらを作るための資源の枯渇>
という現実も改めて突き付けられるに至って、根本的に計画を見直すこととなった。
シモーヌやビアンカや
『あくまで状況を見ながらアリスシリーズとドライツェンシリーズとドーベルマンMPM、及びフライトユニットとワイバーンシリーズの製造を適宜行う』
との結論を得た。と言うか、俺の考えを了承してくれたと言った方がいいだろう。
<資源の枯渇>については、本当は最初から分かっていたことだった。高性能なロボットを作るための原材料は、一部の資源惑星でしか産出されていない。それを手に入れる方法のないここでは、いずれはこうなるというのはな。
だが、それでも、
『もしかしたらここでも見付かるかもしれない』
的な淡い期待を抱いて今までやってきたが、現実は甘くなかったということだ。そして俺が根拠のない希望的予測を当てにしてしまうこともある凡夫でしかないという証拠でもある。加えて、エレクシアもシモーヌもビアンカも
『各集落に、アリスシリーズとドライツェンシリーズを各一機ずつ。そこにドーベルマンMPMを適宜』
って感じに、ゆる~く基準を設けた。それで言うと、ビクキアテグ村には現在、モニカ、ハートマン、テレジア、グレイがいるわけで、いずれ新たに集落ができればそちらに配分する必要も出てくるだろう。まあその前に、新しいアリスとドライツェンも作ってるところだから、それが完成すればまずそちらをあてがうことになるけどな。
それと同時に、ホビットMk-Ⅰについても運用を重ね、データを収集していく。
「やはり、AIの補正の限界を超えているようですね」
エレクシアが、コーネリアス号から送られてくるデータを検証してそう伝えてくれた。
コーネリアス号のAIも、ホビットMk-Ⅰの各部に備えたAIも、あくまでそれらが現役として運用されていた<三十八世紀>時点での技術水準を大前提に設計されているので、二十世紀前後の技術水準(加工精度などについてははるかに上だが)を基にした機体を制御するには無理があったということか。
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