ビアンカ編 傾向

ここまでのところで、素戔嗚すさのおの大まかな身体能力、耐久力が把握され、いよいよ、


『力の差を思い知ってもらう』


段階に進む。<ビンタ>は、その一つだ。相手の打撃の威力だけでも力の一端を垣間見るには、本来、十分なはずだし。


だが、素戔嗚すさのおはドーベルマンMPMのビンタに吹っ飛ばされて地面を転がってもすぐさま態勢を整えて、なおも突っ込んできた。


『懲りない奴だな。身の程をわきまえない奴は生き残れないぞ』


とは思うが、そもそも、他の多くの動物や獣人達はドーベルマンMPMの異様な姿に警戒心を抱いて近付いてこないものだが、素戔嗚すさのおはまったく気にしてる様子もなかった。これはもしかすると、生まれた時からすでにドーベルマンMPMの姿を何度も見てきたことから、『そういうもの』として認識してしまっている可能性があるな。


親世代がドーベルマンMPMを警戒している間は、それを学んでほとんどの子供は同じように警戒するようにもなるが、それでも<例外>はある。そして、ドーベルマンMPMの存在を当たり前のものとして育った世代に育てられた子は、さらに恐れなくなるかもしれない。そうやって徐々に慣れていってしまうんだろうな。


これは、俺達の集落で暮らしているボクサー竜ボクサーのレッド、ブルー、イエロー達にも見られる傾向だ。俺達のことをあまり恐れていなかったレッド、ブルー、イエローの子供達、孫達は、もうすっかり、俺達を恐れなくなっている。ドーベルマンMPMに似たドーベルマンDK-aのことも、まったく恐れていないし、ほとんどもう<ペットの犬>と変わらない存在になってる。


まあ、犬のようにリードに繋いだりはしてないし、基本的に<躾>もしてないから、厳密には、


<同じ場所に住み着いてるだけのお隣さん>


ではあるが。


ちなみに、レッド、ブルー、イエローが育った<駿しゅんの群れ>でも、程度の差こそあれ、同じくドーベルマンDK-aを警戒しない個体の方が多くなっている。と同時に、俺達のことを<獲物>とは認識しなくなっているけどな。


もちろん、だからといって不用意に近付くと襲われる危険性もあるから、適度な距離は取らなくちゃいけない。その点は、姿こそ人間(地球人)のそれではあるものの純粋なパパニアンであるじゅんは今でもボクサー竜ボクサーを恐れていて、まどかひなたうらら


『あれは危険なものだ。近付いてはいけない』


と教えてくれているので助かってる。


ちなみに、こちらも姿こそは人間(地球人)のそれではありつつ純粋なマンティアンであるれいは、見た目はローティーンくらいなものの、もう、ボクサー竜ボクサーくらいだと、一対一なら負けない程度には強くなってるし、マンティアンが得意とする、


<気配を消す能力>


も発揮してる上にそもそも慎重だから、そんなに心配してないが。


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