ビアンカ編 示威行為
人間は、かつて、いや、いまだにそういうこともあるらしいが、
『親になるための経験すらロクに積まず知識も与えられずいきなり親になる』
ということが行われてきたそうだ。
経験も知識もないから手探りでするしかなかったり、ネットなどに溢れる検証もされてなければ裏付けも取れてない<子育て法>に縋ってということがあったらしい。
しかもそれに付け込んで未熟な親を洗脳し搾取するという輩も後を絶たなかったとか。
メイトギアが、実際の現場で蓄積してきたデータを基にサポートしてくれるようになってからはずいぶんとマシにもなったらしいが、それでもいまだに、
<自分にとって都合のいい子育て法>
を鵜吞みにする親もいなくはならないそうだが。
だけどな、ペットを飼うのでさえ飼い主にとって都合のいいことばかりじゃないというのに、人間の子供を育てる上で自分に都合のいいことばかりあると考える方がどうかしてるんじゃないのか?
俺にはそう思えて仕方ないんだが。
俺自身、子供達が全力で遊びまわって騒々しかったり家が壊されたり仕事の邪魔をされたりと、『やれやれ』と思わされることの連続だったが、『すべてはそういうもの』だと考えて受け止めるように心掛けてきた。
まあそれができたのも、エレクシア達のサポートがあればこそだけどな。俺一人じゃ、ひたすら怒鳴り声をあげて何かっちゃぶん殴って苛々してへとへとになってただろうなって気しかしない。
それどころか、俺よりも強い子供達に逆襲され、取り返しのつかないことになってた可能性すらあるだろう。
下手すれば<獣人>達に、
『人間は敵だ』
と思われてたかもしれない。
それじゃ意味がない。
こっちが敵対行動をとってないのに勝手に<敵>と見做して攻撃を仕掛けてくる奴は仕方ないとしても、なにもわざわざこっちから敵対行動をとって、敵じゃなかった相手を敵に回す必要もないしな。
ここには、<国>や、<自分達とはまったく考えの異なる集団>は、まだ存在しない。だからそういう意味で、<人間>相手に
『自分達に攻撃を仕掛けると痛い目を見るぞ!』
という<示威行為>を行う必要がない。野生動物相手の場合は、
『相手が何を<脅威>と感じるか』
が分からないと、<示威行為>が成立しない場合がある。人間(地球人)の場合は、軍事力などを示すのが分かりやすい<示威行為>になるだろうが、そもそも<武器>や<兵器>を知らない野生の獣相手にいくら武器やら兵器やらちらつかせたって理解できないだろう。
だからどうしても、向こうが襲い掛かってきた時に撃退することで、
『襲ったら痛い目を見る』
ってのを随時知ってもらうしかないんだよな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます