ビアンカ編 攻撃的になる必要がない
もし、
『ずっと大人に虐げられ続ける環境で、自分が大人になった時には、子供の頃にされたことを次の子供に対してやらずにいられない』
と言うのなら、大人にされてきたことを自分が大人になった時にはやらずにいられないと言うのなら、それは翻って、
『自分が子供の頃にしてもらったことを大人になってから自分もやれる』
ってことじゃないのか?
だとしたら、子供の頃に虐げられたりしなければ大人になってからも他人を虐げずにいられるんじゃないのか?
少なくとも、
それなりの年齢になってから俺達の群れに加わったパパニアンの
『ここでは理不尽に虐げられることがないから、攻撃的になる必要がない』
というのも間違いなくあるはずなんだ。
「ひあり、やさしい。ぼくも、やさしいきもち、なる」
ってな。
攻撃的に接してこられたら、自分を守るために攻撃的にならざるを得ないというのは、確かにある。それは俺も分かる。
こちらが信頼を勝ち得ていない時点では、不信感から攻撃的になることがあるのも分かる。しかし、そういう形で攻撃的に振る舞われたとしてもそれに対処できる体制がこちらには整ってる。たとえマンティアンが暴れても、エレクシアやイレーネやハートマンやグレイがいれば、容易く凌ぐことができる。
なにもこちらまで攻撃的になる必要はない。
彼を虐げなければならない理由はこちらにはない。彼が暴れたりしたところで、たぶん、ルコアでさえ
それが分かっているんだから、別に、
だったら、<理不尽な扱い>を受けてこなかった
人間としてまっとうな扱いをしてもらってきたのに?
俺達がしようとしてるのは、そういうことなんだよ。
『自分は散々虐げられてきたのに、せっかく成長して力もつけても他人を虐げちゃいけないとか、納得できない!』
なんて考えずに済むようにしてるだけなんだ。
その中で、ビアンカが、
まあ、実際にはモニカやテレジアのカメラ越しではあるが。
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