モニカとハートマン編 学び取るのは

「たぁだいまぁ~♡」


ミレニアムファルコン号で文字通り一っ飛びで来たあかりが、満面の笑顔を浮かべて着地を決めた。


「おかえり~♡」


「おかえり~♡」


まどかひなたがやはり笑顔で迎え、


「おかえり」


「おあえり」


ひかりじゅんが二人に続く。


もちろん、俺とシモーヌ、エレクシア、セシリア、イレーネも出迎える。家族の関係の良好さが嬉しい。


と言っても、うららあらたほむらさいしんれいえいは、普通の人間(地球人)のようには出迎えてくれない。あくまで視線を向けるだけだったりするだけだ。でも、それは人間(地球人)とは感覚が違うからであって、敵意を向けたり警戒しないというだけでも十分に<仲間>だと認めてくれてるわけで、それでいい。


人間(地球人)の在り方接し方を押し付けることはしない。『郷に入っては郷に従え』の言葉もあるように、こちらが彼らに合わせるのが基本だ。


ただし、従えないからといって虐げるのも違うと俺は思う。あくまでお互いに歩み寄れる範囲での話であり、


『これだけはどうしても譲れない』


という部分があるならそれについては尊重するし、そのことによって折り合えないなら、<住み分け>を模索する。りんあらたとの関係が上手くいかなくなった時にここを離れたのも、結局、それだと思う。無理にここに残って感情が衝突することがこれで避けられたんだ。同時に、追い出す形にして負担を一方的に強いるんじゃなく、可能な限りのフォローは行う。まあ、りんの場合は俺の実の娘だという事情もあったものの、その当たり前の努力を忘れたくない。


久利生くりうがビクキアテグ村を立ち上げることになった時も、俺は、<この惑星においては強大な力を持つ者>であるがゆえに、力も貸した。


だからこそ、俺達は良好な関係を築くことができてるんだと思う。


もちろん、久利生くりうの件については、彼が大変な人格者であったおかげで上手くいったという現実も忘れない。彼がただただ一方的に要求を押し付けてくるようなタイプだった場合には、こんなに上手くはいかなかっただろう。望まぬ衝突があった可能性も高い。そして今後、この地に<人間>が増えてくれば、そういう<一方的に要求するばかりの輩>というのも現れてくるかもしれない。なるべくそうならないように、そういうタイプの人間になってしまわないように、生まれた時からの接し方にも注意を払いたい。


エレクシア達メイトギアからも教わってたが、実際に自分が子供を育ててみて改めて実感した。


『赤ん坊が周囲の人間達から学び取るのは、言葉だけか?』


ということを。


赤ん坊は、言葉だけじゃなく、周りの人間の<態度>や<振る舞い>も学び取ってるんだと、俺は子供達から教わったんだよ。


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