モニカとハートマン編 早熟な男子
こうして、多少の危うさもはらみつつ、ビクキアテグ村でのルコアの生活も穏やかなものになっていた。
コーネリアス号に連れて行ったことで少々ナーバスになっていた
服を着るのを嫌がり、何より、水中にいることが多いことで常にすっぽんぽんの
「こんにちは」
ルコアが笑顔で声を掛けると、
「う~、あっ!」
何やらドヤ顔で元気に返事をしてくれる。そして、ルコアの体に掴まって、よじ登り始めた。
「あ、あ…ええ……?」
思いがけないそれに戸惑うルコアが、救いを求めるように、と言うか、
『どうしたらいいの…!?』
とでも言いたげな表情でビアンカや
そんな彼女に、
「だっこしたげてよ。ルコアのことが好きなんだよ」
にっこりと笑顔で告げる。
「あ…あ、うん……」
言われて、ルコアは、
瞬間、彼女の表情がハッとなる。
「柔らかい…けど、かっちりしてる……重い……!」
思わず呟くと、今度は
「そうだね。見た目以上に筋肉質なんだ。一見しただけなら地球人と変わらないけど、さすがに野生で生きられるだけの素養を秘めてるということだろうね」
少し自慢げに言った。いや、彼にとっても第一子である
はっきり言って<親バカ>である。でも、共感できるぞ、その気持ち。俺もそうだった。
なんて、<父親ズ>のことは脇に置き、ルコアに抱かれた
「む~ふっ!」
と鼻息も荒く満足げな表情。それがどことなく、
『お前は俺のものだ!』
とでも言いたげにも見える気がする。
と言うか、たぶん、そうなんだろう。
なんというマセガキ…! とと、違う違う、<早熟な男子>。
が、ルコアの方はそれをどこまで察しているのかはいささか疑問だが、自分が好かれていることは理解したらしく、まんざらでもない様子だった。
おかしな下心もなく真っ直ぐに自分に向けられた好意が嬉しかったのかもしれない。
ここまでは、どうしても大人ばかりを相手にしてる状態だったからな。気遣われていることは察していても、ある意味じゃそれは距離を感じさせるものだったのも事実だろうな。
だけど
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