モニカとハートマン編 基礎的な身体能力

あんに近付けなかったことを残念に思いながらも、ルコアはモニカの言うことに素直に従ってくれた。


これは、ルコアの元々の性格も確かにあるんだろうが、それ以上に、普段からビアンカもモニカも彼女の言葉に耳を傾けてくれるから、その真似をしてくれているというのが一番だと思う。


そして部屋に戻ったルコアは、一人でパズルを始めた。これも、コーネリアス号の工作室で作ってもらったものだった。基になった写真は、寛ぐそうかい達の画像だ。実は、ビアンカの要望で作ったものでもある。そうかい達をこういう形でも見ていたかったということだな。


千ピースのパズルなので、普通にやればかなり時間も掛かるものだ。


しかしビアンカは、これを二時間ほどで完成させてしまう。初めての時も四時間程度だったそうだ。


一方、ルコアはと言えば……


「ルコア様、さすがです」


彼女も、三時間ほどで完成させてしまった。一般的には十五時間程度が平均だというそれを。


どうやら彼女は記憶力が高いらしい。そして、空間認識も優れている。だからこそ、サーペンティアンという特殊な肉体を得ても、それに適応するのが早かった可能性があるみたいなんだ。


その手の能力が高いのは、この世界で生きていくには有利だろうな。サーペンティアンとして基礎的な身体能力も高いはずなんだ。握力だって、全力のそれを改めて測ってないから正確なところは分からないものの、少なくとも四十キロはあると見られている。成人男性並だ。俺と比べてもそんなに変わらない。


だから、人間部分の体の印象としては華奢にも見えるものの、やっぱり強靭なんだよ。


ちなみにひかりあかりも俺よりも圧倒的に強い。純粋なパパニアンには敵わないといっても、ひかりの握力は二百キロ近くあり、垂直跳びは二メートルを優に超える。あかりひかりほどではないにせよ百五十キロは軽く超えるし、垂直跳びに至っては三メートル近くだ。


人間(地球人)のトップアスリートでさえ、足元にも及ばない。まどかひなたでさえ余裕で上回っているだろう。でなきゃ、一跳びで屋根に駆け上がれるわけもない。


あと、ビアンカについても、彼女いわく、


「頭の中にスイッチがあって、それが入ると格段に能力が上がります」


とのことで、その<スイッチが入った状態>だと、握力は二百キロを超えるようだ。アラニーズとしての能力だな。普通の人間だった頃は、六十キロくらいだったそうだし。


まあ、この辺りの<数値>は、普段はあまり気にしてない。それほど重要でもないし。あくまで参考程度だ。


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