モニカとハートマン編 生活力
ロボットであるがゆえに休む必要のないモニカとハートマンは、ルコアとビアンカが起きている間は二人のサポートを中心に行い、二人が寝ると、コーネリアス号内の清掃やメンテナンスにシフトする。
と言っても、今は、ドーベルマンMPMを何機も従えて手分けして作業しているので、二日もあれば全体を終えられるようになった。
朝、ルコアとビアンカが起きる時間が近付いてくると、二人が朝食の用意をスムーズにできるように下準備を始める。これは、ルコアに生活力を付けてもらうために、朝食の用意とかをビアンカと一緒に行ってもらってるからだ。
実質的にはまだ<子供>であるルコアにそういうことをさせるのについては、いろんな意見があると思う。メイトギアもいる人間(地球人)の社会では、
『虐待では?』
という声もあったらしい。しかし、ルコア自身が嫌がっていないし、正直、ここでは社会体制が十分に整っていない。
『自分のことが自分でできる』
のは、いざという時には必要になってくるから、身に付けておいてもらえると安心だしな。よりサバイバル向きの実践的なものについても、今後、身に付けていってもらうことになるだろう。
『捕らえた獲物を生のまま食う』
ことも平気だし、それに耐えうる免疫も持ってる。だから改めてスキルとして身に付ける必要はなかったが。
ちなみにこれは、
ルコアの場合は、おそらく、肉体そのものは野生で生きていける能力が備わっていると思われる。免疫についても野生のそれと遜色ないものを持ってるのも確認できてる。となれば後は、<心構え>の面で学んでいってもらう必要がある感じか。
とは言え、それを強いるつもりもない。そこまでしなくても済むように日常のサポートを主に行うアリスを作ったわけだからな。
で、ルコアとビアンカが<部屋>にしている<隔離室>のキッチンに、今日の分の食材を用意するのがモニカとハートマンの仕事の一つだ。
隔離室のキッチンは簡易なものなので、大量の食材とかは保管できない。サーペンティアンのルコアは体重百キロオーバー。アラニーズのビアンカは体重二百キロ弱。その大きな体を維持するために、一日に何度も食事をするから、十分じゃないんだ。
コーネリアス号の<食堂>の保管庫から、コンテナに詰めた食材を運ぶ。一日分だけで約三十キロ。ロボットだから毎日のその作業も苦にならない。
なお、ルコアとビアンカは、<水分>も大量に必要とするから、コーネリアス号の浄水機能が回復してくれたのはありがたい。
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