モニカとハートマン編 道化じゃない
また少し時間は戻って、メイガスの件の一方で起こってたことについて詳しく触れていこう。
で、
新暦〇〇三三年九月十日。
ルコアを保護してから半年。
ルコアは順調に今の環境に馴染みつつあると思う。
それはなにより、ビアンカと、モニカと、ハートマンのおかげだった。
ビアンカはルコアの母親役をしっかりと務めてくれて、そのビアンカとルコアが穏やかに暮らせるサポートを、モニカとハートマンがしてくれていたんだ。
モニカは、アリス初号機。
ハートマンは、ドライツェン初号機。
共にビアンカが名付け親で、名前の由来は実家で飼っていたネコの名前だという。
製造された当初はそれこそただひたすらロボット然としていた二体だが、経験を重ね、加えて、母艦ドローンやワイバーン一型・二型、ドーベルマンMPMらに搭載し試験を重ねて改良を加えた<
ちなみに、
『限りなく自律行動に近い』
というのは、万が一に備えてコーネリアス号のAIが補助的にリンクしているので、完全なそれじゃないという意味だ。
メイトギア達がまだ<アンドロイド>と称されていた頃には主流の方式で、実は、今の<
こう言うと<フラグ>のようにも聞こえるかもしれないものの、これまでもそうだったように、人生というものはそんな都合よく展開するものじゃない。良い方向にも悪い方向にも。
<人生>ってのはエンターテイメントじゃないんだ。
<客>を面白がらせて消費されるためにあるんじゃない。
他人の人生をエンターテイメントと捉え、『面白い』だの『つまらない』だの評する<サイコパス気質>の連中を喜ばせるために俺達は生まれたんじゃないし、モニカやハートマンを作ったんじゃないんだよ。
ここで作られるロボット達も、<道具>ではあるが、<道化>ではないってことだ。
ロボットであるモニカとハートマンに、人間のような<休息>は必要ない。機体のコンディションは常に互いにモニターし合い、何らかの不具合があった時に順次メンテナンスが行われる。そしてそれ自体が今後に作られるアリスやドライツェンのための貴重なデータになる。
だから、厳密には零号機であるアリゼやドラぜから、
もっとも、固有名詞としての<名前>を付けてるように、それぞれが個性も備えてるんだよな。
その辺りも、<個性>と呼べるほどの機体ごとの差異がないドーベルマンDK-aやドーベルマンMPMとの違いでもある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます