麗編 人間の群れ
もし、俺やシモーヌが外に出て作業するとなれば、エレクシアは、
加えて、あまりにしつこくしてくると、平手でパーンとはたいて力の差を思い知らせる。
こうして、彼女が自分達の力じゃ決して敵わない相手だというのを分からせていくんだ。
すると、一匹、また一匹と、退散していく。
『こいつは餌にならない』
と理解して、な。
その辺りの見極めは、ヘマをするとそれこそ命に直結するだけあってわきまえてるなといつも感心させられる。人間(地球人)には、その辺りをわきまえず、勝てない相手にしつこく絡んでいくのもいるからな。変に知能が高い分、いろいろ方法とか武器を使うとかを試せてしまうことで諦めがつかないのかもしれない。
しかし、
『他人に危害を加える方向で努力する』
というのは本当に迷惑千万だ。そんな非建設的なことで『面子を保つ』なんてことを考えなくて済むようにしなきゃなと思う。それによって生じた損失がどれほどのものか、どれほどの時間と金と労力と人的資源が無駄になったか、素人の俺が考えても天文学的な数字になるであろうことが容易に推測できてしまう。
『社会を築く』のなら、そういうことも考えないといけないだろう。社会制度だけを作って、
『後はお前らだけでちゃんとやっとけ』
なんてのも無責任の極みだと思う。
『ちゃんとやっとけ』と言うのなら、せめて<手本>は示してくれないと。
俺は、親として、
『相手を敬い気遣う』
というのが具体的にどういうことなのかしっかりと<手本>を示したいんだ。
<心を発達させた動物>である人間が<群れ>として安定的に生きていくには、互いに心を持つ者として、
『相手を敬う』
ことと、
『相手を気遣う』
ことが必須のはずなんだ。それを疎かにしてたら、<人間の群れ>はスムーズに機能しない。それは歴史を振り返ってもはっきりとしているはずだ。
正直、人間(地球人)の世界では、そういう考え方は<綺麗事>と鼻で笑われるようなものでしかなかっただろう。けれど、その上で、人間(地球人)はそれを実現するために努力を続けているのも事実なんだ。だからこそ、惑星を丸ごと破壊できるほどの力を得ても自滅することなくここまで持ち堪えられた。だから俺は、<人間(地球人)という生き物>を信じたいと思う。
そして、ここに出来上がるであろう<
何しろここに生きる<人間>は、俺達<地球人>の遺伝子も受け継いでいるんだからな。ある意味じゃ、<子供>、<子孫>みたいなものだ。
だからこそ、いわば<親世代>である俺達の失敗を繰り返してほしくないじゃないか。
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