麗編 相手が悪い
とにかく、
その、<新しい集落候補地>は、俺達の集落から今度は南に十五キロほどいった場所だった。母艦ドローンによる簡単な調査で候補地はいくつか選定してあるから、そのうちの一つということだ。
こちらも、アリゼドラゼ村とよく似た環境だ。生活用水としては十分な水量がある小川が近くを流れつつも例の不定形生物まではいないことが確かめられている、絶好の場所だ。
ただし、この辺りの動物達はほとんどが俺達のことを知らないから、俺とシモーヌはローバーからは出ない。さっそく、
さすがにローバーには襲いかかってはこないものの、遠巻きに様子を窺っているのが、随伴させたドローンのカメラに捉えられているし、当然、エレクシアのセンサーなら丸見えだ。
「それじゃあ、頼む」
「承知しました」
俺の声に応えつつエレクシアがローバーを降りる。
現場の詳細なデータについてはエレクシアを通して確認する。彼女のセンサーに捉えられたそれを俺とシモーヌが持つタブレットに送信してもらうんだ。
そうしてエレクシアが植生や地面の状態なども確認し、そのデータを俺とシモーヌも見る。これも、今後はアリスとドライツェンが受け持つことになるな。
と、さっそく、
「ギイッ!!」
それでいて、ウイッグに喰らい付いて引っ張ろうとした
「……」
黙ったままその顎を掴み、僅かに力を入れるだけで、
「ギヒッッ!?」
その
いやはや、頼りになるなあ。
もっとも、アリスとドライツェンの場合は、そのあまりに異様な姿に
一見しただけでは、パパニアンやパルディアとそんなに違わないエレクシアだからこそ、襲われたというのもある。
なお、パルディアも食物連鎖ピラミッドの上位に位置する強力な
地上でもたもたしているパルディアなど、十分、獲物になるんだ。
とは言え、今回、遭遇したのはパルディアなんかじゃない。要人警護仕様のメイトギア、エレクシアだ。
『相手が悪い』どころの騒ぎじゃないな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます