メイガス編 施策

メイガスに対しては、ひかりじゅんまどかひなたあかりも紹介したいところだが、そっちについては余裕があればでいいだろう。


今は、メイガスの方も、自身が得た情報を整理する時間が必要だ。


「辛いよね。<母親>としても……」


同じ<子を持つ母親>としてそう感じるのか、いつもの感じでテーブルを囲んでお茶にしてる時、ひかりがもうすっかり大きくなって人間(地球人)なら十歳くらいに見えるひなたを抱きながらそう呟いた。


ひなたは、遊び疲れたのか眠っている。見た目にはローティーンくらいになった(それでも実年齢はまだ五歳)まどかうららも、家が影を作っている地面に寝転がって仲良く寄り添い合うようにして眠ってた。


人間(地球人)とほぼ変わらない姿のまどかと、パパニアンそのものの姿をしたうららがだ。


ああ……素晴らしいな。この光景が、ここにできるであろう<人間社会>を暗示してくれているなら、何よりだと思う。


けれど今はまだ、<地球人としてのメンタリティ>がベースになっている者にとっては、様々な心理的ハードルがあるのも事実だろう。


『郷に入っては郷に従え!』


と言うのは勝手だが、俺自身、自分に対してはそう言い聞かせてきたのは事実だが、だからといって誰もがすぐにそう割り切れるわけじゃない。その現実を忘れないようにも自分自身に言い聞かせる。


それでも、この集落だけでも、いろんな者がいる。ただの地球人の俺に、パパニアンの血を半分受け継ぎつつも地球人の姿を持つひかりに、遺伝的には完全にパパニアンでありながら地球人の姿をしたまどかじゅん。地球人の血は四分の一程度ながらやはり地球人の姿のしたひなたひかりと同じく地球人である俺の血を半分受け継ぎながらもパパニアンの姿を持つほむらあらた、レオンの姿を持つしんさいひなたと同じく地球人である俺の血を四分の一受け継ぎながらマンティアンの姿を持つえい。逆に純粋なマンティアンでありながら地球人の姿をしたれい


加えて、不定形生物由来の透明な体を持つシモーヌだ。


こんなバリエーション豊富なここで、


<それぞれが持つ個別の事情>


を考慮しない施策が成り立つか? 


地球ではかつて、権力を握った者が、自分に都合のいいように、自分の身内や仲間やそれに連なる者、同調する者、協調する者のみに都合のいいように施策を行うのが普通で、それ以外は考慮されないというのが一般的だったという。


だがそうなると当然、埒外とされた者達の反発を招き、争いの火種となった。


なるほど、リソースの限られた世界では、<リソースの集中と分配>は必須だっただろう。また、自分達が生きる世界を成り立たせている<道理>についても理解が十分じゃなく、ゆえに思慮が及ばなかったのも事実だろうから、一部の者だけを優遇したことを、後の世の人間である俺があれこれ言うのは、典型的な<後出しじゃんけん>だと思う。だからそれを批難するつもりはない。


ただ、様々なことが分かってしまった以上、知ってしまった以上、知らなかった時のやり方をそのまま踏襲するのは、単なる<甘え>であり<怠惰>だと俺は思うんだ。


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