按編 性分化疾患
「<性分化疾患>、と言われるものかも」
と、シモーヌが診断してくれた。
とは言え、彼女は動物については必ずしも専門家じゃないので、彼女が知る限りの範囲での判断ではあるが。
<性分化疾患>
まあ、素人である俺にも何となく理解できたような気になる説明の仕方をすれば、
『性別がはっきりと確定されていない』
という状態らしい。つまり、雌とも雄ともつかないということだ。俗に<両性具有>と呼ばれるものとも違うんだとか。
『両方の性がある』
のではなく、
『どちらとも定まっていない』
ということだからな。
人間の場合は、まあ、妊娠中の段階でその診断が出ても、生まれる前に遺伝子治療が行われ、ちゃんと確定させてから生むことがほとんどらしいので、今では一般にはほとんど知られていない疾患だそうだ。
俺も知らなかった。
しかし、ここでは遺伝子治療など望むべくもなく、そもそも出生前診断を行うには治療カプセルに入ってもらう必要がある。が、
なんにせよ、
『雌でも雄でもない』
状態で生まれたということだ。
だから、たぶん、子を残すことはできないだろうな。もう巣立ってもおかしくない年齢なんだが、見た目からして、後から生まれた
それでも一応、レオンとして狩りにも参加するし、外敵の襲撃があれば群れを守るために戦ってもくれるから、今はとにかく見守ってる状態だ。
そんな
母親である
さすがに最初は遠巻きに興味深そうに見ていただけなのが、徐々に距離を詰めていって。
その間にも、近付こうとする
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