晴編 過ちを繰り返さないように
エレクシアの体の使い方を学び取った
たぶん、母親である
だから、
兄である
しかし、同じ両親の下に生まれた兄弟でありながら、
俺の下で育ったことで
『それぞれ群れを率いつつもまるで一つの群れのように共に暮らしている』
という、レオンとしては特殊な生き方をしているものの、
これも矛盾だな。
命のやり取りをしないで済めばいいと思いつつ、命のやり取りが当たり前の彼らの生き方や在り方が守られることにホッとするんだからな。
だけど、やっぱりどっちの<気持ち>も間違ってないと思うんだよ。
『どの立場で考えるか?』
の違いだけで。
そんな自分を責めることもしないでおこうと俺は思う。
矛盾は、人間である限りどうしたって付きまとう。矛盾してること自体を<悪>だと考えると、おそらく人間の精神は破綻する。
『どっちが正しい』
じゃない。
『どっちも間違ってはいない』
で、そのまま受け止めなきゃいけないんだと思う。
揺らぎながら、ふらつきながら、それでも人間は生きていく。そういう生き物。
だが同時に、そんな自分を正当化するのもやめておこうと心掛けている。
なにしろ、それぞれの考え方は、立場が違えば『間違ってる』ようにも見えるだろうからな。
自分の血を受け継いだ者同士が殺し合うことを認めたくない立場と、
過剰に自然に干渉し根こそぎ変えてしまうことを認めたくない立場とではな。
まあそれについては、
『そもそも俺が子供なんか作らなけりゃそんな問題は生じなかった』
と言われてしまうとぐうの音も出ないわけだが。
だからこそ、自分を正当化するのはやめようと思う。
俺がここで子供を作ったのが正しかったのか間違っていたのかは、正直、分からない。
とは言え、その事実は今さら消えてなくならない。
ただ、明らかに『間違いだった』ってことにならないようには、努力していきたいと思う。
そのためには、かつての地球人がやらかした過ちを繰り返さないように伝えていかなきゃな。
俺の命がある限りは。
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