鋭編 人類史の闇の部分

そんなわけで、俺としては、


『人間の姿をして人間としての知性をある程度備えてれば、例外なく人間と見做す』


としようと思う。


残念ながら光莉ひかり号やコーネリアス号のAIおよびエレクシア達の認識については変更できないものの、


『人間の姿をして人間としての知性をある程度備えてれば、人間に準じた存在として丁重に扱う』


という形での認識の更新は可能だし、すでにそうなってる。


俺がひかり達をそう扱ってるからな。


加えて、<朋群ほうむ製AI>が開発されていけば、そこで、


朋群ほうむ人は人間である。もちろん地球人も人間である』


ってことにしていけばいい。


フィクションだと同じ起源を持つ地球人と異星人が戦争になったりするが、


『双方の祖先はちゃんと情報を残しておかなかったのか? 怠惰すぎるだろ!』


と思う。まあその辺は、エンターテイメントとしての都合が優先されて何らかの事情で情報が引き継がれなかったってことになってるんだろうが。


そんなわけで、俺は、しっかりと情報を残していきたい。様々な媒体でな。


紙や電子デバイスは、最新技術で作っても精々数千年程度しかもたないだろうから、石やガラスといった、


<保存状態さえちゃんとしてれば何万年でももつ媒体>


にも残しつつ、朋群ほうむ製AIにも情報を引き継いでいってもらう。俺達地球人が使ってるAIが何千年も前からの情報を引き継いでいるように。


それでもなお、<消された記憶>みたいなことはあるという。正直、その時の人間達にとって都合の悪い情報については徹底的に消されて、ちゃんと伝わってないことも実はけっこうあるらしいし。


以前触れた、惑星リヴィアターネの惨禍についても、危うく消されそうになっていたとも。


まあ、一億数千万人もの犠牲者を出した上、病原体を確実に封じ込めるためとはいえロボット艦隊で完全封鎖して徹底的に爆撃までしたとなれば、封印したくもなるだろう。


それについては最初の段階で情報の方の封じ込めに失敗してすべての植民惑星に一瞬で広まったからどうしようもなかったようだ。しかも、地球に本部を置く<総合政府>から完全に独立して独自路線を歩んでる惑星まで広まったとなっちゃ、<総合政府>のコントロールも効かないわけで。


だが、これよりずっと以前の、太陽系外まで広まりだした黎明期には、それこそリヴィアターネの件に匹敵する大惨事がいくつもあったもののほとんどまともに伝わってないものもあるとも言われてる。


当時は、地球にあったそれぞれの大国や勢力や団体がこぞって競争するように開発を行ってて、各々、情報を自分達だけで管理してたらしいからな。今よりはまだ、秘匿もしやすかったんだろう。


人類史の闇の部分だな。


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